木内みどり:
それでは、その特定枠で出てくださるこの方をご紹介いたします。木村英子さんです。
木村英子:
皆さん、こんにちは。木村英子です。実は、正直なことを言うと、私は年々障がいが重くなっていき、今回、山本太郎さんから参院選のお話をいただいた時、とても悩みました。しかし、私が地域で生きていくためには、運動しなければ生きていけない現実の中で、太郎さんから「運動は政治です」と言われた言葉に突き動かされ、また、もう2度と施設には入りたくないという強い気持ちで立候補しました。今、施設や親元を離れ地域で自立生活をしている障がい者の現状は、とても厳しい状況にあります。障がい福祉制度と介護保険を統合しようとしている国の動きの中で、地域で暮らしている障がい者の生活は、今、壊されようとしています。せっかく命懸けで施設から地域へ飛び出し自立生活を実現しても、人手不足で介護者が足りず、お盆や暮れには、施設に入らざるを得ない障がい者が何人もいます。また、65才になるまで障がい福祉で自分に合った必要な介護を受けていた人たちが、65才になった途端に介護保険に組み込まれ、介護時間を減らされ、命の危機に晒されている生活を強いられています。私は国会議員になったら、まず、介護保険と障がい福祉の統合に反対していきたいと思っています。
そして、地域で障がい者が当たり前に生きていくためにとても重要なことは、子どもの頃から障がい児と健常児を分けないインクルーシブ教育の実現です。私は生後8ヶ月の時、歩行器ごと玄関に落ちて障がい者になり、18才まで施設と養護学校で育ち、独りで外に出たことはありません。私は幼い時から健常者と分けられて生きてきました。分けられて生きていくことが、どんなに恐ろしいことかを、私は地域に出て来て差別されるたびに思い知りました。私は、電車の切符の買い方も知らない、歩道と車道の区別もわからない、障がいを持っている自分が恥ずかしくて人に声をかけられない、そんな、何も知らない私が生きていくには、社会はあまりにもバリアが多くて、とてつもなく冷たいものでした。社会と断絶させられ、何も教えられて来なかった18年間の空白を取り戻すのに、35年もかかってしまいました。施設から飛び出し、地域で自立して、今では人の視線を恐れずに生きていけるようになりましたが、私は幼い時から受けてきたトラウマと、その弊害に今も苦しんでいます。障がいがあるというだけで子どもを分けていいわけはありません。もう、私のような子どもたちを増やしたくないんです。だから私は、養護学校、今の特別支援学校と普通学校を分ける教育には、反対です。共に学び合える教育を実現するための、インクルーシブ教育を進めていきたいと思います。そして、幼い時から分けずに、いっしょに遊んだり、喧嘩したり、泣いたり、笑ったりできる環境があったなら、差別をしないでお互いを認め合える優しい社会になると、私は信じています。
そして、共に生きられる社会を実現するには、もう1つやらなければいけないことがあります。それは2016年にスタートした、障がい者差別解消法の「合理的配慮」を全国に整えていくことです。皆さんは「合理的配慮」という言葉を知っていますか? 例えばスロープやエレベーターをつけるなど、交通や建物、学校教育、病院、情報、防災、障がい者に対する理解、その他、あらゆる社会生活すべてにおいて、バリアをなくすための取り組みを「合理的配慮」と言います。障がい者差別解消法が施行されて3年になりますが、私たち障がい者が地域で安心して生きていけるようには、まだまだなっていないのが現実です。重度障がいを持つ私の仲間は、体の痛みや緊張を少しでも和らげるためにスーパー銭湯に行きましたが、車椅子での入店拒否をされたりしています。車椅子で遊びに行っても、行く先々でそういった差別にあいます。普通に旅行に行くだけなのに差別ばかりにあって、悲しい気持ちになることが多いのです。皆さん、それは何故だと思いますか? それは法律を作った国会自体がバリアだからです。
(聴衆、口々に「そうだ。」)
そうだと思いますよね。本来なら、国が率先して差別をなくす取り込むようにしなければなりません。差別を無くすために「合理的配慮」が早く改善されるよう、国会に訴えていきたいと思います。この合理的配慮が整わなければ、私たち障がい者は社会に参加することも、生活することもできないのです。地域に参加できないということは、障がい者と健常者を分けることにつながり、差別を簡単に生み出します。そして、親が介護ができなくなれば、地域に住める環境は整っていないために、私たちは、また、施設に行かされてしまうんです。ですから、健常者と同じ権利を保障され、障がい者が当たり前に地域で生きていけるために、私は「合理的配慮」を進めていきたいと思います。
障がい者が地域で生きるために、まだまだ改善しなければならない課題がたくさんありますが、私は障がいを持った当事者として、自分のできる限り頑張っていきたいと思っています。皆さん、れいわ新選組をどうか国会に送り出してください。よろしくお願いします。ありがとうございました。
木内みどり:
木村英子さんでした。もう1度拍手をお願いします。ありがとうございました。ここで、ちょっとインフォメーションさせてください。雨が降るという情報が来ております。もし雨がザーっと降ってきた場合、とても困ります。ですが、車椅子の方たちを優先させたいと思いますので、どこにどう動くかはスタッフが誘導しますので、まず車椅子の方を優先させてください。よろしくお願い致します。
※最善を尽くしておりますが、なるべく早く皆さまにお届けすることを優先するため、若干の誤字脱字はご了承ください。