木内みどり:
それではご紹介します。雨宮処凛さんにやってもらいます。作家の雨宮処凛さんです。
雨宮処凛:
はい、皆さん、お疲れさまです。雨宮処凛です。ずっと太郎さんのことは6年前も応援してきたんですけれども、今回私はこのALSのふなごやすひこさんの、いろいろ紹介などをさせていただいております。それで、あ、皆さん拍手でお迎えください。ふなごやすひこさんの登場でーす。
れいわ新選組特定枠1位、ふなごやすひこさん。今日はなんと、ふなごさんに3人の応援スピーチの方が駆けつけてくれました。ということなので、もう少しこちらにお詰めいただけますか? あと2台車椅子が乗る、乗ります。大丈夫かな? 今こちらにいらっしゃいますのが小田政利さん。筋ジストロフィーで呼吸器をつけていらっしゃいますが、呼吸器をつけててもお話ができますし、喋ることができます。そういう小田さんと、おふたりめ海老原宏美さん。
ハートネットTVなんかでもお馴染みの、日本酒がとても大好きだという海老原さんなんですけれども、海老原さんもSMAという難病、進行性の難病で呼吸器をつけてらっしゃいます。そして3人めが梶山紘平さん。こちらの方も筋ジストロフィーで就労したいという、就労したいし就労する能力もある、ということで、すごいのはこの応援の3人、皆さん呼吸器つけてるけど、一人暮らしされてるんですね。なので全然呼吸器つけても、楽しく自分らしくいろんなことしながら生きられるっていうことを、本当にまさに身をもって全身で体験、体現してくれている皆さんだと思います。ということで今日は、小田さんからじゃあまず応援のスピーチをお願いします。
小田政利:
はい、今、紹介していただきました、小田といいます。ありがとうございます。僕、声、呼吸器使ってるんで声ちっちゃいんですけど、聞こえますか、皆さん。
(拍手)
皆さーん、ちょっと聞いてください。いきなりですが、僕、生きててもいいですか?
(拍手、声援)
いいですか? いいと思う方、もっと拍手を。
(拍手、声援)
ありがとうございます。今回出馬されたふなごさんと同じく、人工呼吸器をつけて、24時間つけっぱなしで生きてます。
今、社会保障とか、あと、生産性がないとか、あるいは安楽死だとか、尊厳死とか、そういうものの対象として、自分たち人工呼吸器使っていると、言われがちになります。
でも、自分たち、この、国からのお金使って、自分たちが溜め込んでるわけではないんです。自分たちがいることによって、ヘルパーさんていう職が生まれたり、あるいは、施設、そういうところで職員の人、あるいはそういう建物修繕費、国の中の支出として考えたときには、確かにマイナスかもしれませんけれども、自分たちが溜め込んでるわけではなくて、いろんな職種も、いろんなお仕事も、生まれて、あるいは、皆んなもそうですよね、皆さん食事すれば、そういうものが農家の方たちに、収入となって、結局は国の税金として収められて、お金は回っていくものじゃないかなって、自分では思います。ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。
自分たち、生きているっていうだけの、本当に、ただただそれだけではなくて、人がひとりいるっていうことは、それだけ世の中いろんなものが回っていくと思います。その中で自分たちの、こういう今の立場現状を、ぜひ、ふなごさんにも国会に行っていただいて、いろんなことを分かっていただけるように、して、いただきたいと思うので、ぜひ皆さん、お力添えをよろしくお願いします。ありがとうございます。もっと拍手を〜、ありがとうございます。
雨宮処凛:
小田さんうまい、うまいね。盛り上げ上手の小田さんでした。それでは次、海老原さんにマイクを。
海老原宏美:
皆さんこんにちは。お疲れ様です。今ご紹介いただきました、自立生活センター東大和の代表をしております、海老原宏美と申します。
私もふなごさんと同じように、人工呼吸器を使いながら、24時間365日、使いながら、障がいのある方々の地域生活獲得のための、権利擁護活動というものを、日々行っております。
もともと旅が好きでですね、呼吸器を小脇に抱えながら、いろんな国に行きました。でも、日本ほど、人工呼吸器ユーザーの地域生活というものが定着している国は、他にありません。あの先進国と呼ばれている欧米でも、ほとんどの人が、呼吸器をつけるくらいなら死んだほうが幸せだ、というような、社会的な価値観や圧力によって、死に追いやられている、生きることを諦めざるを得ない、というような状況が、多々起きています。実は日本ってすごい国なんですよ。素晴らしいなと、ここに生まれたことを、とても幸せに思っています。
どうして、日本はこんなに重度障がい者に対する法制度が、まだ十分ではないにしても、整っているのか、最低限整っているのか。私たちは、ただ口を開けて、手をこまねいて、自分たちの地域生活の権利というものが、与えられることを待っていたわけではありません。自分たちの姿を社会にさらし、人目にさらし、ときには社会から大きな批判を受けながら、浴びながら、命がけで自分たちの地域生活の権利や、命の権利というものを勝ち取ってきたんです。
(拍手)
海老原宏美:
ありがとうございます。なぜ、私たちがそういうだけ頑張れたのか。命を縮めながら、障がいの重度化を起こしながら、なぜこんなに頑張ってきているのか。それは、重度障がい者、社会のなんの役にも立たない、生産性がない、と言われているような、私たち重度障がい者が、安心して生きていける社会というのは、すべての人にとって、安心して生きていける社会だということを、私たちが一番よく知っているからです。障がいがあろうがなかろうが、すべての人は自分の得意なこと、そして苦手なこと、というのがあります。どういう人が生きる価値が高いとか、どういう人間は生きる価値がないとか、そういうことではなくて、すべての人が自分の得意なことを活かし合い、そして苦手なことを補い合い、そういう風に支え合うことで、社会全体として、まるっと丸く、上手くいけばいいじゃないかということを、一番知ってるのは私たちなんです。障がい者は障がい者のためだけに、運動してきたことはありません。すべての人が生きやすい社会を作りたいと思って、ずっと運動を続けています。そして、できる人も、できない人も、どんな人でも、地域の中にいていいじゃないか、というようなインクルーシブな社会、というものを作っていくための最も効果的な方法というのは、頭の柔軟な子どものうちから多用な特性を持った人たちが、共に学び合い、共に育ち合うような、インクルーシブ教育というものを実践していくことが、一番いいと私は思っていて、今、インクルーシブ教育の活動を頑張っています。
子どもは、とても頭が柔軟です。そして吸収もします。あっという間にどんな特性の人も受け入れて、溶け合っていくんですね。子どもの力は凄いです。でも、大人はどうでしょうか。特に、未だ障がい者差別解消法の対象外となっている、国会の中にいる大人はどうでしょうか。頭固い、頭のコリ固まっているような、そういう人たちがいる、大人の価値観や意識をゆさぶり、かき回し、覆し、そして変革していくためには、ふなごさんたちのような、最重度を極めた、重度障がい者を国会の中に投入していくことが、やっぱり一番効果があるんじゃないかと思っています。
選挙前の最後の戦いの日となっておりますけれども、当選してからが本当のスタートです。当選した暁には、ふなごさんたち重度障がい者に国会の中で、大いに暴れていただきたい。そして特定枠トップ二枠に、その最重度障がい者を据えて、代表自らはその下に身を置くと、いうような戦略、覚悟を取った、れいわ新選組、本当にあっぱれだと思います。
選挙前の、選挙前のこの熱がずっと冷め続けないように、ずっと維持していけるように、当選後もずっと応援を続けていきたいと思います。頑張りましょう。ありがとうございます。
雨宮処凛:
海老原さん、素晴らしいスピーチ、本当にありがとうございました。それでは、梶山さんの方から3分ほどでスピーチを。
梶山紘平:
僕には能力がありません。学歴も職歴もありません。では何をやってきたか。不平等な社会で、34年間、死に物狂いで生きてきました。
選挙で何か変わるとは思っていません。生きることが精一杯のことです。それでも、山本さんや、ふなごさんを信じて、今日、来ました。1票をよろしくお願いいたします。
雨宮処凛:
はい、みなさま、本当に素晴らしい応援スピーチ、ありがとうございます。ではここから、特定枠1位のふなごやすひこさんのスピーチを、お願いしたいと思います。代読を佐塚 (みさ子)さん、お願いいたします。
ふなごやすひこ:
皆さん、こんにちは。ふなごやすひこです。今日、車いすで応援に来てくださった方、そして、このたくさんの会場を埋め尽くすほどの皆さん、本当に僕は、感謝しています。本当にありがとうございます。僕は今回の出馬に、文字通り、命を懸けています。僕がなぜ、立候補しようと思ったのか、それは僕と同じ苦しみを、障がい者の仲間にさせたくないからです。国会の皆さんは、現場に通用しない、穴ぼこだらけの法律があることを知りません。そのひとつが建築基準法です。建築基準法には、国民の生命、健康、財産のためと謳われています。それを作った議員さんたち、僕が国会に入ったら僕を無視せず、僕の介助をお願いします。それが立法者の役目でしょ。そうではないですか? 聞きに来てくださっている親友の皆さん、そうですよね? 現場感覚の、本当の意味の法律の必要性を、理解してもらいたい。障がい者が今まで我慢させられてきた、あてがわれてきた法律からは、おさらばです。もっと障がい者が自由になるんだ。国会議員の皆さんも親友の皆さんも、いずれ歳をとり、障がい者になります。僕たちが関わり、作る制度が本物になるように、皆さん、お力をお貸しください。車椅子の皆さんは、ユニバーサルデザインだといって、デザイン性を重視した点字ブロックにタイヤを取られ、横転しそうになったことはありませんか? 僕はあります。「車いすはエレベーターに」と言われ大型の車椅子が入れなかったことはありませんか? 僕はあります。障がい者用のトイレに入って、戸が閉められないことはありませんか? 僕はあります。仲間とレストランに入って、一緒にテーブルにつけたことはありますか? 僕はありません。ちょっと考えただけでも、穴ぼこだらけです。こんな簡単なことがわからないのです。誰がこんな片手落ちのものにOKを出すんでしょうか? 国の基準とやらではないでしょうか? この建築基準法が、時には悲劇を生んでいることを知ってください。僕が、デザインを重視した点字ブロックにタイヤを取られ横転したならば、呼吸器が外れ、死んでしまいます。
ALSになってから、僕はいわれのない虐待にも苦しんできました。ある地方都市の施設に入居していた時のことです。食事が口から取れないため、僕は胃ろうという穴をお腹に開け、経腸栄養剤を処方されていました。保険請求ができるものです。しかし突然、法律が変わったと言われ、月に5万円ほどの自己負担で栄養剤を購入させられました。結果的に体に合わず、15ヶ月間ものあいだ下痢が続き、栄養失調になり、全身がむくみました。強いめまいも起こしました。
強いめまいも起こしました。本来、保険で処方できるものを自費で購入させられ、しかも体に合わないものを15カ月間もの間、注入され続けたのです。週に3回あった入浴も2回に減らされました。入居者全員が2回に減らされたと、その施設の職員から聞かされていたのですが、減らされたのは僕だけでした。手間がかかる、というのが理由でした。また、看護課長から、口を聞いてもらえぬ日々が続いたこともありました。幾日も決まって20日間、なにか原因が分からないまま挨拶もしてもらえない日々は辛いものでした。
僕は大学で講義するために外出することがありましたが、施設の帰宅時間は15時と決められており、それ以降は施設に帰ることを認められず、ホテルに泊まらなくてはいけないこともありました。そのため、講義自体を断ったこともありました。それだけでなく、施設からは病気が進行し、意思疎通ができなくなったら、退去するように、とも言われました。
こんな施設には入居していられないと思い、一人暮らしを決断しました。そのため、障がい者自立支援法の障がい福祉サービスの申請を行いました。障がい者が一人暮らしをするにあたって、ヘルパーを派遣してもらうためのものです。しかし市役所からは「すぐには出ませんよ。3カ月くらいかかります」と言われました。
皆さん、おかしいと思いませんか? 一般的に人工呼吸器をつけた人が、3カ月間、自費でヘルパーをお願いすることができると思うでしょうか?
そもそも自立支援とは、障がい者が自立した生活を送るための制度です。施設を出て、一人暮らしを始めた時点で、適用されなければ生活はしていけません。この制度を巡って、障がい福祉サービスの利用時間を確保するために、裁判を起こしているケースも多々あります。でも、裁判を起こさないと、獲得できないなんてことは、あってはいけないことだと思います。
結局、僕は180万円を自費で払いました。障がい者自立支援法とは、障がい者の日常生活及び社会に自立を目指す法律のはずです。もし、僕が当選したなら、今、利用している障がい福祉サービスは受けられなくなってしまいます。なぜなら、自立支援法と言いながら、職場にヘルパーがついていくことは、禁じられているからです。障がい者は働くな、っていうことでしょうか? この部分は絶対に変えなくてはなりません。
障がい者が仕事を持つことこそ、自立支援だと思います。それなのに、歩けない人のお手伝いが、なぜ法律で禁じられているのか。全身麻痺でも働ける障がい者はいます。能力があっても、国の法律で制限されて良いのでしょうか? 小手先だけの制度を見直したいです。
僕は今、介護関連会社アースの経営陣に参加しています。そこで驚いたのは、介護福祉の制度がちょこちょこ変わること。そして、ケアマネージャーの書類仕事の多さです。本来、利用者の声を聞き、必要なサポートをする人たちがペーパーに追われている。この実態に、制度改革の必要性を強く感じます。
今、ヘルパーの人材不足は、どこもひっ迫しています。弊社もいうまでもありません。介護職は「3K」といわれています。きつい・汚い・危険。そして基本給が安い。そんな声があがったことから、国は処遇改善交付金をバラ撒きました。しかし、そんなことで介護職の介護離れに歯止めをかけることはできません。
今年から導入された、働き方改革も同じです。正社員の有給休暇取得を義務付け、一方でダブルワークを推奨。どこで休みが取れるのですか? 有給を使って、介護職に他の仕事をさせ、その穴を派遣会社が埋める。最近は看護職の紹介会社が派遣職員を推奨する傾向になってきていることを、皆さんは知っていますか? このシステムは、誰かが得する傾向になってきている、得するように仕向けられているように感じます。企業は有給休暇を義務づけられたことで、常勤職員の雇用をやめるのではないですか? もちろんヘルパーも同じです。
これでは、いつまでたっても、きつさは解消されないです。このきつさを解消しなければ、障がい者や高齢者はいつまでたっても虐待から解放されません。これまでの経験を活かして、介護職の待遇を改善していきます。そして、そして、僕が当選したら、小学校、中学校、高校、大学での、生産性を重んじない、命の大切さの教育導入を約束したい。
僕は5年前に松戸の市議選に立候補しました。その時のスローガンを今回も掲げたいと思います。
「強みは障がい者。だから、気づけることがある」
僕が議員になったら、全難病患者、障がい者を幸せにするために働きます。全難病患者、障がい者が幸せな社会は、皆んなが生きやすい社会です。人の価値が生産性で測られない社会を目指します。皆さんお力をお貸しください。ありがとうございました。
雨宮処凛:
はい、素晴らしいスピーチ、ありがとうございました。それでは、応援の方とふなごさん、降りていただくことになります。皆さん、こちらから、大丈夫ですかね? リフトに。
はい、本当にふなごさんの、ふなごさんという国会議員、参議院議員が誕生したら、日本は本当に根底から、具体的に物理的に変わらざるを得ないと思って、本当にワクワクしてます。
で、実際に参議院もどうするかっていうの、なんか秘密裏に話し合ってるみたいな報道もあるので。本当に今の国会の本会議場見ても、あんな急な階段、絶対に登れないわけですし、本会議場には基本的には介助者が入れないという決まりがあるそうですが、じゃあ、痰の吸引とかいろんな、水が飲めないとか、木村英子さんは水をひとりで飲むこともできないと言っていましたが、そういう場合にどうするのかとか、本当にそういう細かいひとつひとつが、問われていると思います。
お疲れさまです、ふなごさん、お疲れさまです。いっつもふなごさん、すごくおしゃれで、今日は夏らしい、あ、ふなごさんコール。
聴衆:
ふなご、ふなご、ふなご、ふなご
雨宮処凛と聴衆:
ふなご、ふなご、ふなご
雨宮処凛:
はい、お疲れさまです。じゃ、次は小田さん、ありがとうございました、小田さんも。はい、ということで、なんか、まさか参院選で、こういう光景が出現するとは、私は思っていなかったので、なんかね、本当に特定枠のふなごさん、木村さんが発表されてから、すごく街頭演説に、この前のほうに車椅子の方々がたくさん来てくださって、そういう方がどんどん増えていって、その光景に本当に胸が熱くなっています。ということで、このへんで、司会の木内みどりさんにバトンタッチしたいと思います。ありがとうございました。
木内みどり:
雨宮処凛さんでした。ありがとうございました。雨宮処凛さんが山本太郎さんの本をおつくりになって、言った? 言ってない。
雨宮処凛:
「僕にもできた!国会議員」という、山本太郎さんのこの6年をまとめた本を、筑摩書房から今年4月に出しましたので、ぜひ、そちらもご一読ください。ありがとうございます。
木内みどり:
雨宮処凛さん、ありがとうございました。えっと、ひとつインフォメーションしておきます。この、れいわ新選組のボランティアさん、いろんな方がいらっしゃるんですけども、Webチームがありまして、その方たちがドキュメントムービーをつくりました。昨日、アップされました。昨日の夜中ですが、私、ナレーションしました。3分間のショートムービーですけれども、キャッチが「~動けないから動かせる想いがある~全身麻痺ギタリストが伝えたい生命(いのち)の意味」というタイトルです。YouTubeで「ドキュメント ふなごやすひこ」と引いてくだされば出てきます。3分のショートムービー。
あの、国会議員になられたら、これに英語の字幕がついて、世界に配信されると思います。見てみてください。ありがとうございました。
※最善を尽くしておりますが、なるべく早く皆さまにお届けすることを優先するため、若干の誤字脱字はご了承ください。