マグニチュード9.0の巨大地震の発生から
10年の時がすぎました。
この震災により19,747人の方が尊い命を失い、
未だ行方不明者も2,556人居られます(令和3年3月1日時点)。
最愛のご家族やご友人、恋人、かけがえのない命を失ったご遺族の皆様に改めて哀悼の意を表します。
この震災によって引き起こされた、
世界に例を見ない原発3機のメルトダウン事故は今も続いており、
収束の方法もわかっていません。
2011年3月11日16時36分に発令された原子力緊急事態宣言は、
10年経った現在も解除されていません。
10年経った今も、原子力の緊急事態下にあるのが日本国です。
<国と東電の劣化が進んでいる>
コロナ災害のさなかで迎える震災10年目。
震災を風化させない、とはよく聞くキーワードですが、
残念ながら、風化どころか完全に劣化しているのが、政治であり、原子力行政です。
つい最近にも象徴するような出来事が報道されました。
壊れた地震計を東電が放置していた件です。
結果、今年2月に福島沖で発生したM7.3の余震の
貴重な地震データを記録できなかったという不祥事です。
2016年4月段階で有識者から規制委員会で求められた地震計の交換。
東電もそれを了承していたはずですが、設置されたのは昨年、2020年3月です。
10年前の事故の影響で3号機の原子炉建屋の耐震性が劣化しており、
その安全性を確認するためには地震計の交換が必要でしたが
東電は数年に渡って放置し続けたのです。
2020年3月、3号機に2台、地震計が設置されましたが、
同年7月の大雨による水没などによって2台とも故障。
それを東電は把握していながら、またしても放置。
そこに、今年2月、M7.3の余震が発生。
肝心の地震の揺れを観測できなかったのです。
他にも、不正ID問題。
現在、東電が再稼働を目指す、
新潟県柏崎刈羽原子力発電所での出来事です。
東電社員が原発の心臓部ともいうべき中央制御室に、
ロッカーに入っていた他人のIDカードを無断で使用して入室した問題が、
原子力規制庁から規制委員会に対して4ヶ月に渡って報告されないままになっていた事実も発覚しました。
核物質防護規定違反です。
常日頃からの管理運営もままならない事業者と、
しっかりとした指導や規制を行えない電力会社よりも立場の弱い規制当局。
原子力を扱う資格がない、と言わざる得ません。
これが原発事故から10年の状況です。
〈汚染水〉
敷地内で貯まり続ける放射能汚染水は、海洋放出すべきではありません。
当初原発を建設するはずだった7・8号機や、土捨場、敷地後背地などを活用すればまだ陸上保管は可能です。
トリチウムの半減期は12年程度と短いので、減衰するのを何度か待つ間を使って、
トリチウム以外の物質をしっかり除去し、処分方法もじっくりと議論してゆくべきです。
なぜその選択肢を考えないのでしょうか。
さっさと海に流し、なかったことにしたいのでしょうか。
地元の漁業関係者をはじめ、
福島県内の市町村議会も海洋放出への反対、
陸上保管の継続を求めています。
事故の加害者が、被害者の声も聞かずに、
更なる加害行為を行おうとしているのが汚染水の海洋放出です。
〈学校検査の縮小について〉
原発事故後の健康状態を把握して安心を担保するための取り組み、
特に学校現場における甲状腺のエコー調査についても、今後も長期に渡って継続すべきです。
教育現場に負担がかかるので学校検査を辞める方向に、との誘導もあるようですが、
やめる理由を現場の教員になすりつけ、学校検査の縮小を進めるなどあまりにも姑息です。
教育現場の方々からは学校検査の継続を願う署名なども提出されています。
教育現場に負担がかからないよう人員の増員などが可能な予算措置を行うのが行政の務めです。
原発事故の影響は10年で節目が来るものではありません。
政府は、原発事故の責任が国と東電の不作為にあることを自覚し、
検査や調査を始め、被害、損害に対しても未来永劫責任を果たし続けなければなりません。
<次なる大地震に備える備えが急務>
そして、人々の生命と財産を守る政治の責任として、
地震や災害に対する備えも急務です。
政府の地震予測では、南海トラフ地震や首都直下地震など、
30年以内で8割の確率で発生すると言われています。
予測される被害は甚大です。
政府の試算では首都直下地震が起きた場合、
建物やインフラなど被災地の直接被害額が47.4兆円にのぼると推定しています。
これは、阪神大震災における被害額の約5倍。
東日本大震災における被害額の約3倍。
また、南海トラフ地震が起きた場合には直接被害額は171兆円。
阪神大震災における被害額の約17倍。
東日本大震災における被害額の約10倍。
別に土木学会では、首都直下地震では20年間のGDP損失は最悪で約731兆円。
南海トラフ地震では、20年間のGDP損失は約1410兆円と試算されています。
これだけの規模の地震や津波に耐えられる原子力施設は存在しません。
国家安全保障という観点からも、原子力発電所の即時廃止、以外の選択肢はありません。
一方で、これまでリスクを承知の上で、
国の発展のために貢献してくださった原子力立地自治体の皆様には、
廃止に伴う補助金を継続的に出し続ける必要があると考えます。
加えて、廃炉作業のほかにも、その土地にマッチする新産業について、
国が責任を持って地元と話し合い、必要な財政的措置を行う必要があると考えます。
<れいわ新選組の誓い>
予測される巨大震災による被害、原発に変わる新しいエネルギー源をどうするか。
私たちれいわ新選組は以下のことをお約束します。
私たちれいわ新選組は、災害が多発する日本において、
防災庁を設立し、これまで幾多の災害において知見を積み上げ、
インフラの老朽化への対応を適切に行うだけではなく、
災害のスペシャリストとして、被災地の復旧・復興に力を尽くしてきた、
NGO、NPOなどの知見を集積、腕に覚えのある方々を雇用し、
被災地が一刻も早く元の暮らしに戻れる復旧・復興が実現する体制を整えます。
また、災害対応にマンパワーを集中的に投入できる存在として、
自衛隊の災害時における運用を柔軟対応出来る様にやってまいります。
被災者の生活の復旧についても、震災が発生した際には大胆な財政出動で、
早急に生活再建をおこなえるよう補償のレベルを底上げします。
私達れいわ新選組は、原発事故の教訓を踏まえ、
原発即時廃止と同時に自然エネルギー発電を飛躍的に普及させるため、
国として積極的な財政出動による必要な整備(グリーン・ニューディール)を行います。
同時に、現在主力となっている火力発電については石炭火力、
天然ガス火力発電の順番で依存度を国民生活に負荷をかけない形で脱却していくことを誓います。
私たちれいわ新選組は、原発事故の被害に対し、
加害者である東電及び国が、原発事故被災者に対する長期の医療保証と、
区域外避難者への財政支援の確立を目指します。
原発事故被災地への帰還の要件は、空間線量だけでなく、
表面汚染も含めた判断を行います。
東電原発事故前の放射線防護の基準を順守し、
予防原則に則った運用を目指し、徹底します。
震災10年目のこの日に改めてこれらの事を皆さんにお誓いいたします。