れいわ労働政策

人間の価値を生産性で語られるという世の中。何か役に立っているのか。会社の役に立っているかという空気の中で、もうみんなボロボロになっている。1年間で2万人も、自殺で人が亡くなっている。自殺未遂は50万人。
生活が安定していたらこんなことになるだろうか。働き方にもっと余裕があったとしたらこんなことになるだろうか。あなたが、自分のことを、自分が存在していいんだと思える世界になっていたらこんなことになるだろうか。
死にたくなるような世の中は、政治によって変えられるものだ。なぜなら、そんな世の中を作ってきたのは政治だからだ。だったら、死にたくならないどころか、生きてて良かったって思えるような社会を、政治を通して作ってみよう。

以下のような労働政策が鍵になる。

1 れいわニューディール全体を通じ、国の大胆な財政出動で、大量の失業を解消し、1000万人の安定した雇用を実現。

ロスジェネ世代をはじめとして希望する人に安定した雇用を保障します(2021年7月で完全失業者191万人。休業者や長期のシフト大幅減の人も加えるともっと膨大になる)
国の財源を活用して、新卒者にとどまらず、幅広い世代、とりわけロスジェネ世代で、正規雇用を増やします。
また、自治体への交付金増額や、災害対策をはじめとする公共事業の復活などで公務員も増やす。日本は先進国の中でも最も公務員の少ない国の一つであり、公務員を増やすことはむしろ必要なことです。
いくつかの自治体では、ロスジェネ世代を新規採用するための独自の試みがなされていますが、実際には不採用となった多くの方々の失望しか生まない残念な結果となっています。国の大胆な財政出動こそが、その失望を解消します。

2 国費年間3兆円で、介護の月給10万円アップ。人手不足を解消する。

急激な高齢化に日本社会はまったく対応できていません。現在の介護人材は常勤換算で200万人強ですが、厚生労働省によれば、団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者になる2025年度には、約245万人の介護人材が必要となります。これを確保するために、処遇の大幅な改善を行います。まずは毎年約3兆円の国費(※1)を投じて賃金補助を行い、介護従事者の賃金は月額10万円アップさせます。従事者の社会保障も充実させるとともに、最先端の技術や介護用具を導入して業務負担を軽減させます。

(※1)厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」に基づく厚生労働省老健局の試算では、「賞与込み給与」は、介護職員(平均年齢43.1歳、役職者除く)の場合28.8万円であり、全産業平均(平均年齢42.4歳、役職者除く)の37.3万円よりも約8.5万円低い(「訪問介護・訪問入浴介護の報酬・基準について」、社保審・介護給付費分科会第193回、令和2年11月16日、資料13、p.8)。これを参考に、十分な人材確保のために10万円相当の賃上げを行うものとする。245万人に対して、必要な公的資金は約3兆円となる。

他方で、現行制度の下では、高齢化が進んで介護保険の利用が増えることで、第二の税ともいえる介護保険料がどんどん上がっていて家計を圧迫しています。
また、介護を必要とする独居高齢者が多い地域に住む市民の負担が大きくなる仕組みとなっており、公平性にも問題があります。介護保険の財源の国費割合を大幅に増やし、この問題を解決します。(詳細は「れいわ社会保障政策」を参照)

3 国費年間7200億円で、保育の月給10万円アップ。人手不足を解消する。

保育従事者の人数を約60万人まで増やすために、毎年7200億円を投じて給与を月額10万円アップする。公の責任で保育所を増設し、民意に反して民営化させられた公営保育所も当事者の要望に基づいて行政の運営に戻すことで、 公営保育所を増設し、待機児童の解消と、質の高い保育を公の責任のもとで地域社会全体で保証していくようにする。保育の質を高めていくため、国は「保育所保育指針」の見直しと、支援の充実を進める。
保証していくようにする。また、私立の幼児教育の実践も活かし、保育の質を高めていくための公的支援の充実を行う。

ひとびとが安心して働き、命をつないでゆくためには、充実した保育が不可欠です。厚生労働省が2020年末に発表した「新・子育て安心プラン」では、2021年から2024年までの4年間で、追加的に14万人分の保育の受け皿を確保するとしており、そのためには保育士も大幅に増員することが必要となります。
しかし、保育士の給与も介護の場合と同様に低く、担い手を十分に確保するためには、処遇の改善が不可欠です。
保育は子どもたちの命を預かり、一人ひとりに必要なケアを行う高度な技能を要する職業です。私たちは、保育従事者の人数を2018年の約48万人から60万人まで増やすために(※2)、給与を月額10万円アップすべく、毎年約7200億円の国費を投じます。

(※2)厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」によれば、「賞与込み給与」は、保育士(平均年齢36.7歳)で30.3万円であり、全産業平均(35~39歳)の37.3万円よりも約7万円低い。それを十分に上回る賃上げとして8万円の補助を行う。厚生労働省資料「保育士の現状と主な取組」(令和2年8月24日)によれば、保育従事者数は2018年で約58万8千人(p. 22)、常勤換算で47.9万人であったが、これを常勤換算で60万人まで増やすものとする。これに必要な資金は7200億円となる。

また、非常勤の保育士で十分とするような規制緩和を行うのではなく、資格をもった常勤の保育士の雇用を義務づけます。また、政府が大規模に公共投資を行い、必要な保育サービスを確保します。
なお、現在の日本では、厚生労働省が管轄する保育園と、文部科学省が管轄する幼稚園が縦割りで区別されており、そのことによる弊害も指摘されている。子どもの育ちを根幹に据えて、縦割りの弊害を解消する改革を行います。

4 医療制度をハード面、ソフト面ともに充実させ、医療従事者の処遇を大幅に改善する

コロナ禍によって日本の医療制度の脆弱さが明らかとなりました。それはこれまで行われてきた緊縮財政路線による医療費切り詰めの影響です。コロナ禍の中でも補助金をつけて病床を削減するようなことが行われています。その一方で、診察費の自己負担率は上昇し続けているのです。
私たちはこの間違った医療政策を大きく転換、国費を投じて医療施設を充実させます。
看護師や事務職員等についても処遇を大幅に改善、従事者を増やし、労働時間や業務負担を削減させます。

5 最低賃金を全国一律1500円に!中小企業は徹底支援つきで

今の最低賃金では、まともに暮らしていけない。最低賃金1,500円は、週40時間働いて、月収25万円という最低限必要な水準です。
また「全国一律」であることは、どこで働いても保障される水準として必要であるだけでなく、地方の雇用の確保にもつながります。
ただし、中小企業を淘汰するための手段としての、最低賃金の引き上げには問題があります。私たちは、最低賃金の引き上げに際しては、誤った中小企業の淘汰ではなく、徹底した財政と金融の中小企業支援を実現しなければなりません。
そして、賃金向上は大きな景気回復策でもあります。今とられている、賃金向上なきインフレ目標政策では、働く人が「物価だけ上がって、かえって生活が苦しくなる」という予想をしてしまい、貯金を増やすために消費を抑えてしまう。景気拡大にとっても逆効果です。賃金が目標インフレ率以上に上昇すると、誰もが実感する状況になって、はじめて景気回復の効果が得られます。

6 働く人を徹底的に守る。

雇用の流動化と規制緩和をストップ

これまで、不安定な雇用ばかり増やす政策が続けられてきました。これを終わらさなければなりません。1995年に日経連が号令を出して以来、労働者派遣業の規制緩和が行われ、のちの小泉「改革」ではさらなる雇用の流動化政策が進められてきました。それ以来、非正規雇用の割合は増え続けました。

こうして、小泉改革後の景気回復でも、安倍政権期の景気回復でも、企業が空前の利益を上げて、株の配当が高まる一方、平均賃金は上がらず、労働分配率は下落し続けた。そのため、人々の生活は悪化し、消費は低迷するという脆弱な景気回復が生まれました。今もコロナ禍で、株価は上昇し、富裕層は資産を大きく増やしていますが、庶民の生活と消費は低迷する地獄が加速しています。わたしたちはこうした状況を以下の政策で、逆転させます。

  • 派遣労働を含む有期労働契約を、既存の就業が失われないよう配慮しつつ原則禁止し、やむを得ない臨時的に認められる条件を法律に明記します。
    そして、同一価値労働同一賃金を実現します。正社員と同じ仕事をしている非正社員は、派遣労働者も含め、賃金、福利厚生その他の待遇も正社員と同じになるようにする。労働者の使い捨てを食い止めます。
  • いわゆるギグワーカーのような、個人事業者の形をとったあらゆる事実上の雇用についても、偽装請負を根絶させ、労働者としての権利を保障し、企業の雇用責任を全うさせます。
  • 非正社員で、望む人はみな直接雇用・無期雇用の正社員に転換できるようにする。派遣労働者は、本人が希望する場合、同一の事業所で安定して働けるように、直接雇用に移行できるように義務化する仕組みを整えます。
    その際、事業所の正社員と同一の業務である場合は、賃金・待遇等も同一にし、格差・差別を禁止し、また、不利益変更のないようにする。
  • 労働法全般において、使用者側の雇用責任を明確に求める法制を拡充・創設し、罰則規定の明文化をする。違法・潜脱・脱法に対しては罰則の強化をはかり、労働者保護の徹底を行う。
  • 恣意的な雇用調整の手段となり、コロナ禍下で休業補償なき事実上の失業を生み出している「シフト制」への法的規制をおこないます。実質上5割を切るケースも多い休業手当の補償率を引き上げます。
  • フランチャイズ業界の健全な発展のため、フランチャイズ本部と加盟店(者)が対等に話し合え、共に栄えられるフランチャイズ規制法を制定します。
  • 大学院を卒業したポスドクの方々については、国会における立法スタッフを充実する際に、専門性を持った調査員として積極的に常勤の公務員として雇用します。他にも、海外留学経験などを持つ有為人材を国会の調査部門や法制局、国会図書館などで起用することにより、世界の動向をスピーディに日本の立法機関が取り入れられるように充実させます。公務員などの採用に大学院経験や留学経験が正当に評価される仕組みを導入します。

7 働く人を徹底的に守る。

過労死ゼロ! 違法な不払い残業を根絶

  • 「高度プロフェッショナル」制度を廃止する。裁量労働制の規制を強化して、使用者側による一方的で客観性・合理性の希薄な基準による生産性で評価する成果主義を規制する。
  • 労働基準監督署の予算と人員を拡充して、違法な不払い残業(いわゆる「サービス残業」)を根絶する。法定労働時間も短縮する。
  • 残業の賃金割増率を大幅に引き上げ、残業上限を大幅に引き下げる。

この国においては「会社の役に立っているか」というプレッシャーの中で、低賃金にもかかわらず、多くの人が余裕のない働き方をさせられ、過労死・過労自殺が絶えません。2014年に過労死防止法が施行されたのに、毎年の過労死・過労自殺は減っていません。それに追い打ちをかけるように、自民公明政権は「働き方改革関連法」という一連の法律を成立させ、過労死ラインを超える長さの労働時間を「上限」として公認しました。「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」などと称して、労働時間規制をはずしてしまう職種を増やす、営業職の一定時間以上の労働を、労働と認めずに残業代も払わないようにする等の改悪を行ました。状況を改善する必要があります。

8 働く人を徹底的に守る。

労働の場での差別と人権侵害の解消

  • 雇用・賃金における男女格差はじめあらゆる差別をなくす。
  • 違法行為を明文化し、刑事罰・民事救済を規定したハラスメント禁止立法をつくる。
  • セクシュアルハラスメントなどのハラスメント被害の救済措置においては、医師・カウンセラーとの連携を制度化し、労災保険適用につなげる協力を義務付ける。労働基準監督署のもとに、二次被害の心配のない相談窓口を設ける。
  • 労働監督官や事務官への人権研修を徹底し、企業に対する資料開示命令など、権限を拡大する。
  • あらゆる職業差別をなくし、いかなる職業分野にも人権侵害や違法な労働条件がはびこることのないようにする。
  • 労働運動を応援する。
  • 障がい者の就業をいっそう促進する。
  • 日本政府未批准のILO条約111号「雇用及び職業についての差別待遇に関する条約」をただちに批准する。
  • 国際労働機関(ILO)が提唱する、「同一価値労働同一賃金」と「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」を実現する。
  • 公務員のストライキ権を復活させます。
  • 労働組合運動を保護育成します。国際労働機関(ILO)のフィラディルフィア宣言を根拠とする公労使の三者構成による労働政策審議会を、他の諮問機関よりも優越する機関と位置づけ、労働者代表には多様な立場の運動や当事者性が反映されるようにします。

9 働く人を徹底的に守る。

不本意離職ゼロ

働き続けることが難しい状況は、誰にでも起こり得る。障がいを負ったり、子どもができたり、親族に介護が必要になったりしても、働き続けられるような世の中でなければなりません。同じことは、ガンなどの難病の治療を続けなければならなくなった人にも言えます。特に末期のガンなどで余命を限られた人にとっては、生きることの意味が重大になります。残された時間で、例えば温泉旅行などを楽しむ人生を選ぶことも最大限尊重するべきですが、働き続ける人生を選んだ場合には、それを同じくらい尊重するべきです。 こうした制度を整えることは、長い目で見て、多くの人々や、ひいては企業や社会全体にとっても有益であり、公的な支援策を充実させるべきです。

10 働く人を徹底的に守る。

外国人労働者は敵ではない。「労働の安売り競争」こそがなくすべき敵である。

今、世界中で労働者が競争に追い立てられ、賃金やその他の労働条件をお互いに切り下げる「底辺への競争」の現実が存在しています。日本国内の外国人技能実習制度も、その一環です。その人権無視の奴隷的な労働実態から、国連人権理事会では廃止するよう調査報告されています。このような奴隷制度が公然と存在していることなどあってはならない。すみやかに廃止するべきです。

入管法が「改正」され「特定技能」を有すると謳われた労働者の受け入れが決定されましたが、実態としては、外国人労働者を「低コストの労働力」と捉えるものであり、このままでは日本国内の既存の雇用が脅かされて賃金上昇が抑えられ、底辺への競争が加速してしまます。
デフレ脱却も遠のくだけでなく、外国人労働者の搾取も強化されてしまいます。ここから脱却するには、日本国内の労働者の処遇と、外国人労働者の権利の両方を守らなければなりません。日本人と同じ賃金と労働基準を適用し、「低コストの外国人労働者」の受け入れをなくしていきます。
これは、排外主義に与するものではないし、そうであってはなりません。
積極的な雇用拡大政策とも合わせて、同一価値労働同一賃金の原則を、民族・国籍を問わず全ての労働者に広げ、雇用をめぐるダンピング争いをなくしていきます。
そのために、民族・国籍で差別しない労働者同士の団結や連帯したアクションは非常に重要です。現場での当事者のアクションと労働運動が連携するとともに、政策としてもあらゆる可能な手段を追求します。

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