「対米追従外交」からの脱却と安保法制の見直し
- 日米間のこれまでの密接な関係は維持しつつも、日米関係以外の他国・地域との外交関係を戦略的に展開します。日本と米国が平等な主権国家同士の関係を築くために、日米友好の前提のもとで、アメリカ追従の外交政策の脱却を行います。
- 違憲な2015年安保法制についてはもとに戻します。
日本国憲法上、公使することができない集団的自衛権の行使を盛り込んだ2015年の安保法制による一連の法改正については白紙撤回します。
日米地位協定の改定と辺野古新基地の中止
- 沖縄県が翁長県政時代の2017年9月に提起した要請書(日米地位協定の見直しに関する要請 )に書かれた条項(11項目)をもとで日米地位協定の改善を求め、地元の基地負担軽減や横田空域などの管制権、航空法など国内法の適用など求めていきます。「思いやり予算」については現行の日米地位協定でも求められていないものですので廃止します。
- 沖縄県の住民の意思を尊重し、普天間飛行場の辺野古移転のための埋立工事を停止し、その上で米国政府に辺野古移設はもはや不可能だと明言し、在沖海兵隊にはカリフォルニア等米本土への移転をお願いします。
核兵器禁止条約の署名・批准を進めます
米国の顔色をうかがって核兵器禁止条約への参加も決断できないのは、世界で唯一の戦争による被爆国である日本にとって情けないことです。速やかに条約に参加し、批准するべきです。
重層的なアジア外交と国際法遵守による平和の維持
- アジア不戦の決意を新たにするともに、同じ地理的環境にある東南アジア諸国等との対話を実践し、欧州諸国とも連携を深め、重層的なアジア太平洋外交を展開します。
アジア太平洋諸国の大学や大学院等に留学する学生への特別奨学生制度を創設し、対米関係だけではなく、アジアにおける草の根の人的交流を拡大・深化させる「アジア太平洋人材交流ネットワーク」を構築します。 - 大国の世界秩序に対する国際法に反する現状変更の試みについては諸外国と連携して、国際法遵守を求めていきます。 また、諸外国への民主化を目的にした人道主義を名目にした軍事介入政策については、20年近く介入し続けたアフガニスタンの米国の民主化が失敗したことを踏まえ、我が国はこの種の「人道主義的軍事介入」には距離を置きます。我が国は、専守防衛と外交努力による問題解決、民生の人道支援による支援を基本とします。
北朝鮮による拉致問題の解決
- これまでの「アメリカ頼み」の政策から脱却し、日本独自の問題として日朝間での直接交渉を目指します。民間外交、議員外交なども駆使するとともに、文化・芸術あらゆる面での交流も活用して、日朝間のチャンネル作りを急ぎます。拉致問題の解決に向けては、韓国の存在が大きいことから、関係が悪化している日韓関係を修復します。また、中国との関係も重要であることから、緊張する米中関係の橋渡し役を担い、この緩和に努めます。
- 北朝鮮側の「拉致は解決済み」の主張を覆すための、独自生存情報等の取得に全力を尽くします。北朝鮮への戦後補償(「過去の清算」)は、必須のことであり、それらを具体的に提示することで、北朝鮮側が拉致問題に対して真摯な態度を示す動機付けとします。具体的には、金銭的なものはもちろん、人民の暮らしを改善させるインフラ整備や農地土壌改良などを検討します。喫緊の政策としては、中国を介するなどして、コロナ対策、緊急人道食糧支援を働きかけ、日朝交渉の糸口を開きます。
「人権政策」を通じた公正な国際社会の実現
- 権威主義国家や軍事政権によるその国の人権抑圧が問題になっている中で、我が国企業が人権抑圧国ゆえに保証されている「低賃金・労働条件」の恩恵を受けていることが問題になっています。同時に、そのような劣悪な労働環境において保証された低賃金労働を我が国企業が活用することで搾取を進めることには道義的な問題があります。日本国憲法において保障されている基本的人権は我が国だけにとどまることはなく、世界中で保障されるべき人権であるという基本的認識のもと、日本国内で許されない人権侵害については他国においても許されないという認識にたった上で、軍事力に頼らない形での「人権外交政策」を展開していきます。
- 通商協定なども相手国の労働者の人権や労働環境などに配慮した条項にアップデートする再交渉を行います。同時に、労働運動の抑圧や児童労働などの人権抑圧下で生産された競争力ある製品が輸入されてきたとき、それに対抗するためにダンピングや価格競争が強いられるという事態は非常に現実的にあり得ることから、その場合には制裁関税を課すなどの対処を行います。
- 我が国が他国と抱える外交上の諸問題、とりわけ、我が国が主権を保有する領土に関する他国との意見の相違については、多国間連携のもと国際機関を通じた外交と対話による解決を図ります。
- 自衛隊の海外派遣
海外で震災・災害が発生した場合、相手国の要望を踏まえながら、自衛隊を人道支援救助部隊として、被災国に派遣。
これまでの国内における災害スペシャリストとしてのノウハウを惜しみなく活用することにより、世界における自衛隊への理解を深め、新たな安全保障環境の構築を目指します。
国内に在留する外国人に対する人権侵害を防ぎます
- 入管施設での人権侵害を無くすとともに、在留する外国人の「家族分断」を防ぎます。
入管施設への収容について司法審査による決定を導入し、収容には期限を厳格に設けます。ウィシュマさん事件に代表される収容者に対する相次ぐ人権侵害事件の再発を防ぐために、独立した「第三者委員会」を設置し再発防止策を講じます。また、様々な事情を考慮して外国人に「在留特別許可」を付与する際、国連自由権規約が保障する子どもの最善の利益や家族の結合権といった権利を踏まえ、家族分断が生まれないよう法・制度の改善を行います。 - 難民認定を行う独立の「難民認定委員会」を設置します。
G7各国の難民認定率を比較してみると、カナダ56.4%、米国35.4%、英国32.5%、ドイツ23.0%、フランス19.2%、イタリア6.8%というなかで、日本はわずか0.25%です(2018年)。その理由の一つが、日本の難民認定が独立の機関ではなく、法務省・出入国在留管理庁が難民認定業務を担当していることです。難民認定の主体を法務大臣から、独立の「難民保護委員会」に移します。 - 人権侵害の「外国人技能実習制度」は廃止します。
外国人技能実習制度は「あなたの祖国に日本の技術を持って帰って役立ててください」という話でしたが、実際は労働の「調整弁」としての安い労働力としての搾取です。非人間的な扱いも数々報告されています。外国人労働者がなくては今の日本経済が回っていかないのが現実ですが、外国人労働者の力を借りる場合には、奴隷的扱いではなく、権利を保障する法律を制定し、劣悪な労働環境、給与水準を是正していくなどの「受け入れ態勢」を整えることが最低限の条件です。それが担保されない間は受け入れる資格がありません。 - 共生社会の礎となる外国人の包括的な権利を規定する法律を制定します。
在留外国人を「管理」するこれまでの法制度ではなく、外国人の権利(労働環境や給与水準の保障、法制度の周知についての多言語での合理的配慮、文化的独自性などの保障する内容の法律)が必要です。市民的、経済的、政治的、社会的、および労働の権利に関わる保護の最低基準を設けます。「ヘイトスピーチ解消法」だけではなく、更に外国人差別をなくすための法律が必要です。また、各種学校である外国人学校 (朝鮮学校含む)についての学費無償化対象に加えます。
安易な改憲ではなく、現行憲法の実践と必要な法や制度の整備を
- 自民党は改憲4項目として、「自衛隊の明記」「緊急事態条項」「合区の解消」「教育無償化」をあげていますが、これらの内容は現行法の運用や改正で実施できるものです。まず、政府が現行憲法を守るように国民が監視していく必要があります。
- 憲法が守られていない例として、いちばん分かりやすいのが第25条です。国は健康で文化的な最低限度の生活を保障せず、それを削減してきました。また、有事に政府への権限集中を認める緊急事態条項の新設などは国民の権利を制限する動きもありますが、私達は反対します。普段から危機に準備していなければ緊急事態条項のある無しに関わらず危機対応はできません。
- 憲法改正を検討する前に、現行法や法改正でできることを最大限実行します。