【文字起こし全文&動画】あかん!都構想 街宣 薬師院仁志(帝塚山学院大学教授)×山本太郎(れいわ新選組代表)2020年10月23日 JR大阪駅御堂筋北口前

山本太郎:
ちょっとここでマイクを一旦代わって、学術的な観点からお話をしていただける方へお呼びしたいと思います。よろしいでしょうか? 帝塚山学院大学の教授の大阪市民でもあります、社会学者であられる薬師院仁志先生です。先生、よろしくお願いします。ありがとうございます。どうぞ。

薬師院仁志:
こんばんは。薬師院です。

山本太郎:
れいわ新選組山本太郎とそして帝塚山学院大学の教授の薬師院仁志さんと今、お送りをしております。

薬師院仁志:
今、山本さんがね、おっしゃったようにですね、11月1日に「大阪市廃止・特別区設置住民投票」というものがございます。ここに何が、本当に何が行われるか?って言ったらですね、大阪市の廃止と特別区の設置ということで。前回の住民投票の時はね、なぜか投票用紙に「大阪市における特別区の設置」という風な書き方してあったんですよね。

だけど、今回、変わったわけではありません。前回もやっぱり「大阪市廃止・特別区(設置)住民投票」でした。それをずっとね、大阪維新の会が、大阪市廃止ということを言ってこなかっただけの話なんです。なぜかならば、この投票は国の法律に基づいておりましてですね。

はい。「大都市地域における特別区の設置に関する法律」というのがですね。そしてこの法律は、「道府県の区域内において関係市町村を廃止し、特別区を設ける」と。もう法律にこう書いてあるわけです。関係市町村を廃止するんです。今回の場合、それは大阪市です。前回の住民投票の時も同じことでした。この同じ法律に基づいてるんですからね、前回だって大阪市を廃止するはずだったんですよ。それを大阪維新の会は正直に言ってこなかった。そして、よく見てくださいね。

「特別区を設けるための手続き並びに特別区と道府県の事務分担並びに税源の配分」。特別区と道府県。都道府県ではないですね。つまり、この法律通りですから、この法律で住民投票で可決したとしても大阪府は大阪府のままです。法律にちゃんと道府県って書いてあるんですね。「都」なんて書いてない。

山本太郎:
どういうことですか? 都構想や言いながら、大阪都にはならないっていうことが、もう。

薬師院仁志:
大阪「都」にはならない。

山本太郎:
ならない。

薬師院仁志:
ならない。ならない。もう、これは法律通りですからこれは絶対です。で、この法律はそもそも維新が働きかけて作らした法律ですから、自分たち良く知っているはずです。そして、この法律の第七条に「選挙人の投票」というのが義務付けられてますね。

ま、これが住民投票。まぁ、住民って言ったら幼稚園の子も住民になりますから、「選挙人の投票」とね、法律ではそういう風に書いてありまして。そこで、「関係市町村の長は、前項の規定による投票に際し、投票人の理解を促進するよう、特別区設置協定書の内容について分かりやすい説明をしなければならない」と。

山本太郎:
わかりやすい説明してくれてますよ、維新さん。

薬師院仁志:
何て? 

山本太郎:
いや、「これ都構想やったら、大阪景気ようなるでぇ」みたいなことしか言ってません。

薬師院仁志:
それはね、何でこんな説明しなきゃいけないか? これはね、例えば医者に行った時に、ちょっと湿布貼る時にお医者さんはね、いちいち同意書を書いて、「湿布を貼って良いですか?」って言わないですよね。だけど大きな手術をする時、ね、これ本当に大丈夫、同意しますか?と、この治療にね。同意書にサインしなさいとか言いますよね。それで納得するように、あるいはセカンドオピニオン聞いてきてくださっても良いですよと。その上でサインしてくださいと言いますよね。つまりものすごく重大な決定なんです。選挙人の投票、住民投票するってことはね。

これね、例えば、住民投票、色々ありました。自治体ではしりのはね、巻町の原発作るかどうかの住民投票とかね。あるいは、市町村合併の時も住民投票やることがあります。ただし、いいですか? 原子力発電所の住民投票も、市町村の合併の住民投票も法律の義務ではない。これは法律で絶対やらなあかんと、選挙人に対する投票ね。わかりますね? ということは、原発を建てるかどうかとか、市町村合併するかどうかよりもはるかに重い決断だと。それはなぜかならばリスクが大きいからです。さいたま市ができた時、政令指定都市になった時に住民投票なんかしてません。堺市が政令指定都市になった時に住民投票なんかしてません。しなくて良いんです。それ、リスクがないから。

だけど、これはね法律で絶対に住民投票せいって言ってんですよ。市町村合併の時にやったとこが多かったです、住民投票。だけど、あれ別にやらんでも良いんです、住民投票。でも、これは絶対やらなあかん。ね、だから、ものすごくリスク、デメリットが伴っているということです。そしたら大阪維新の会はね、「いやいや、デメリット説明してますよ」っと、言うわけですね。(次、お願いします)

デメリット。例えば、何か? パンフレット出してね。都構想のデメリットは何ですか? だいたい名前からしておかしい。ね。わかりにくい説明ですね、これ。わかりやすい説明ではないですね。投票の名前が書いてない、何の投票の名前か一切書いてない。維新のパンフレットにはね。そして、デメリット。「住所表記が変更され、個人の名刺などの住所変更が必要になります」と。でも、「郵便物は旧住所表記で問題なく届きます」と。まぁ、これもデメリットはデメリットです。ええことじゃない、面倒くさいですよね。

まぁ、下。「新システムや庁舎の維持コスト等、新しいコストが発生します」。イニシャル(初期)コスト241億円、ランニングコスト30億円/1年。「ただし10年間で、大阪府から特別区に総額200億円の財政措置が行われます」と。つまり、初期コスト241億かかるけど、200億大阪府からもらえるよと。これさ、読んだ時に、「あ、何や、こんなことか」と、「この程度のことか」と。ね、「そんなんデメリットたいしたことないやん、何で反対すんねん」って。あのね、「たいしたことないやん」と思った瞬間に間違うてんです。デメリットたいしたことあるから、住民投票するんです。嘘、それを伝えてないと。伝えてないんですよ。

これでね、これね、実は、重要なことに気がつかなあかんのです。いいですか? 尻尾出してるんです、よく見たら。なぜか? 「ただし10年間で、大阪府から特別区に総額200億円の財政措置が行われます」。協定書に書いてます。正確には、年20億、10年、総額200億。これはね、どういうことか思います? 特別区には財源がよーくありますから、ようけありますから、こんなもん心配ありません、とは書いてないんですよ。大阪府から年20億、恵んでもらえまっせ、と書いてあります。

山本太郎:
これ、お金があれば、恵んでもらう必要ないですもんね。

薬師院仁志:
必要ない。しかも年20億。特別(区)4つ、平均したら年5億。いいですか? 住民1人当たり750円くらい。そんな金も大阪府から恵んでもらわな無いっていうことなんですよ。これね、大阪府から特別区に総額200億円もらいますと。つまり、金は大阪からもらうもんやと明記されてるんですよ、これ。誤魔化せてない。(じゃ、次いってください)

ほしたらね、いや、ほんなら、コストがね、241億かかんで、それは200億埋め合わせますと。ちょっと待てよ、と。それも府かもらわなあかんの? ほんなら、普段、行政やっていく金はどないすんねん。ね、やっぱりそれも府から恵んでもらうんですよ、大半は。何でかならば、特別区というのは権限が一番小さい自治体なんです。

今まで大阪市は、固定資産税も法人住民税も自分たちで集めてました。だけど、特別区では自分たちで税金集められない。東京23区には区税事務所はありません。区税事務所ありません。各区に都税事務所がありますけどね。それはまあ、都税事務所どっかに作らさなきゃですからね。だけど、区税事務所はないんです。自分たちでお金集められないから。ま、それはそうですよね。千代田区なんて人口6万7000(人)とか、そんなとこで固定資産税とか、法人住民税とか取ったら、年間3300億とか。そんな6万何千人の自治体で年間3千何百億なんていう税金集めたら、そんなんむちゃくちゃですからね。でも、大阪はそんな財源ないんですよ。で、それが今まで大阪市が集めてた税金は、全部府に吸い上げられる。ここね、固定資産税とか、法人住民税とか、全部、府に吸い上げられると。しかも、特別区は地方交付税交付金を直接貰えない。ま、東京はそれでええんです。どうせ東京の特別区、金持ちやから、地方交付税交付金なんて国からもろてない。

だけど、特別区はね、難しく言うなったるけど、地方交付税法の地方団体じゃないんですね。だから、一旦大阪、それも大阪府に一旦入っちゃうと。そしたら任しとけ、と。ね。これはいわゆる法定協、大阪市廃止・特別区設置の設計図を作る協議会です。で、まあ、ここの委員たちはね、吉村知事とか、松井市長とか、で、あと維新と公明の議員とかが大半です。そんな人たちがこういう設計、シミュレーションを作ったわけですね。いやいやいや、あのね、大阪市が集めてた税金、大阪市がもろうてた地方交付税交付金、府が一旦吸い上げるけど、だけど、いやいや、大阪市潰してもその後の特別区にちゃんと恵んだるで、と。ね。せやけど、全部やられへん。まあ、そりゃしゃあない。なんでか言うたら、大阪市潰したらね、消防署とかはね、大阪府がやるからその分のお金は大阪府がもらうでと。まあそれはまあ、そうかもしれん。で、だけど特別区が特別区としてやっていくお金は十分あげまっせと。恵んであげまっせと。ね。で、こんな難しい表を作るわけですよ。ですね。で、いかにも何かこう、すごそうな、完璧綿密な計画。ですね。

でね、まあちょっと話変わりますけど、要は何か昔ありましたね。金買うて、金に投資したら儲かりまっせとか、純金ファミリー(契約)証券とかね。あんなんの説明書もなんかこうね、色刷りでね、なんか複雑な図書いてあってね、いかにももっともらしいこと書いてあんですけどね。なんかそんなんてね、時々ね、下のほーうにね、小っちゃーい字でね、なんや書いてあることがあるんですよね。うん。でね、これよーう見たらね、ここの下のほーうにね、ちっちゃーく、何か書いてあんですわ。次、このをち小っちゃーく書いてあんのね、大きくしてください。

「※必要財政調整額(G)と財政調整財源(G’)の差額が生じ、不足額がある場合は、配分割合に応じて特別区と府で行財政改革等の対応が必要。」と。要するに計画立てた、平成28年のベースで計画立てたと。計画立ててんけど、平成28年の実際決算じゃ不足額149億円:うち特別区分98億円。

いいですか? 財政シミュレーションやと。こんだけのお金が入って、こんだけ分けたるからこれで完璧やと。せやけど、ね、実際に入ってきた金って149億円足りませんねん。こんなんね、よう計画は立派やけど、実行が伴えへんかったん計画倒れっていうけど、こんなもん、計画そのものが倒れとるやないか。計画を立てた時点で金足らんねんから。このむちゃくちゃな、あれ、それをね、めっちゃあの小さーくね、下にね、あの、カラーで書いた一番下に、ちょこちょこちょこちょこっと書いてあるんですよ、これ。ね。むちゃくちゃや、これ。ね。そんなん、この計画で金やりますことになってますと。せやけど、実際、足れへんねん、年98億円。そんで、維新のパンフレット、何書いてあったったら、20億もらえるから安心やって。98億足らへんねんて。ね、こんなん、むちゃくちゃですよ、こんなん。

これ、足らんに決まってる。なんでかって簡単なんですよ。4人家族がね。ひとつの家に住んでるときと、じゃあ4人がバラバラに暮らすときとどっちがコストかかります?っていう。自治体でひとつでやってたものをね、4つに分けるんですよ。ひとつの教育委員会だった、そん中4つの教育委員会にする。1本の市道だ、道ね、市の道だったものを、部分部分、各区が管理すると。ね、それはコストかかるわけですよ。4人家族やったら一家に炊飯器1台やったかも知れへんけども、ね、バラバラに住んだら4つ欲しいと。そういうことが起こるわけですよ。どんな自治体にも必ず置かなあかん施設とかね、そんなん絶対あるわけですよ。それで、だから足らんようになるのは、初めからわかってるわけですよね、金がね。何でか?ってそんな当たり前でね、常識で考えればわかるでしょう? あの、何であんだけ市町村合併したいん? ね。合併して、合併すること自体がね、必ずしも全部良いかどうかわからない。だけど、合併する目的はね、「やっぱり財政苦しいから一緒になってやろうや」っていうのが大きな動機だったんですよね。で、それが必ずしもね、本当にいいかどうかっていうのはわからない。

だけど、動機としてね、理屈としては当たり前でね、バラバラにやったらコストかかるから、ひっついて一緒になろうやと。そういうことで全国でなんであんなに市町村合併が行われたのか?って言ったらね、明らかでしょう? 理由は。そうしたらその逆にバラバラにしたら金足らへんようになんの、明らかじゃないですか。ね。そんなバラバラにしたらね、給料増えるとかあり得へんでしょう? 4人家族が暮らして一人一人やったら給料安いけど、4人だったら給料上がるってあらへんですよ。大阪市を4つに分けたら、そんだけようけ税金が入ってくるかとか、そんだけようけ地方交付税交付金が入ってくるって、あれへん。むしろ地方交付税交付金は、4つに分けても増えへんのですよ。すごい問題なんですよね。

なので、こんだけ足らんようになるのが目に見えてるわけですよ。誰がこんなことします? もうこの時点で説明終わってもええくらいですよね。こんなむちゃくちゃ。初めっから、いいですか? 初めっからこんだけ財政足らんって言うて、財源。ね。で、住民サービス良くなりますか? それでね、初期コスト241億かかりますっつうけどね、前、600億言ってたんですよ。で、今度バージョンアップして241に減ったと。あのね、バージョンアップっていうのはね、よく考えてくださいね、最初のやつが初めのバージョンやったら、2回目のやつは、どんな中身が出てきてもバージョンアップね。グレードアップとちゃうんですよ。わかりますよね。1、1から2番になったらバージョンアップ。それは中身が良うなるということと全然関係ないことね。だから、グレードアップと言わずに、バージョンアップと言う。うまいこと言いますね。うまいこと言いますね。

で、前600億って言ってた。何でかって言ったら、前は大阪市をバラバラにして、特別区に分けたときに、ちゃんとそこのね、新しい特別区役所を建てますよ、と言ってたんですね。だけど、今度は見かけ上の初期コストを減らすためにですね、「特別区4つ作るけど、新しい新庁舎は建てません」って、役所の建物建てませんと。そしたら職員、どこで働くねん? 新しく、ね、淀川区という特別区を作ると言ってる。そこの職員の8割近くは働く場所ないから、今の大阪市役所、間借りして働けと。ほんまですか? これ。協定書、見てください。新しくできる天王寺区の職員、半分以上やっぱ働く場所がない。せやからやっぱりキタ、今のね、あの大阪市役所で働きなさいと。ね。それで中央区の職員、やっぱ働くとこないと。だから、もうしゃあないから、ATCで働けと。いや本当、そんな計画ですよ。で、これどうなります? 

あの、例えばね、淀川区の職員の8割近くは、区内にいないんですよ。災害が来ました。交通が寸断されました。避難所作りましょう。誰が作んねん。誰が作んねん。これね、そんなむちゃくちゃな計画ないでしょ? ほいでね、ああそうか、うんうん、区役所要るか? やっぱり、区内で職員が働くために区役所要るか、と。そうしたらね、「特別区はもう、あんたたちひとつの自治体やねんから、どうぞ自分のお金で建ててください」。そういう話なんですよ。そういう話なんですよ。だから、初期コストが安くなった言うけど、そんな、ちゃんとした区役所も新庁舎もなくて、それ「あ、欲しかったら自分の金で作りなさい」ただそれだけの話ですよ。むちゃくちゃですよ。ほいでね、なんでそんなことするねんって、維新がいつも持ち出すのは「二重行政の廃止」。

「二重行政によるムダな投資で、多くの税金が使われました。」ね。大阪府と大阪市が二重行政。これね、怖い。二重行政、二重行政、二重行政、二重行政、二重行政、二重行政、二重行政、二重行政言うから、みんなもうパブロフの犬みたいに、「あ、大阪二重行政、大阪二重行政、大阪二重行政」と。でもちゃんと検証しましょう。この辺ね、みんなね、りんくうゲートタワービル(GTB)とか、ワールドトレードセンタービル(WTC)、でっかくこれがね、二重行政の象徴みたいに書いてますけどね、こんなんね、バブル期の過剰投資ですよ。二重行政は何も関係ない。なんで関係ないって言い切れるか? 

そうしたら東京都はこんなんなかったんかい?と。タイム24ってなんじゃあれ。ねえ、東京ファッションなんとかね。あれなんですか? むちゃくちゃな。なんや、巨額損失を出してね。東京だってね、バブル期の過剰投資、第三セクターでいっぱいボロ出してるわけですよ。だけどね、東京ファッションタウンか。東京ファッションタウンとか、タイム24とか、他にもありましたね。ただね、東京はね、金持ってるんですよ。めっちゃ金持ってるからね、それくらいの損失が出ても問題にならないんですよ。問題にならないんです。でもバブル期にはね、東京だけじゃなくて日本全国いろいろありました。何か、何か釧路フィッシャーマンズワーフ(MOO)とかね、シーガイアとか、あんなのがバブル期の過剰投資にね、焦げついたんいっぱいありました。

こんなん全然、二重行政と関係ないですよ。もしこれが二重行政の弊害であれば、何で東京で同じことが起こっているのかと。東京みたいに特別区にしたら何で防げるのかと。全然理由になってない。しかもいつの話や、こんなん。1996年、1995年、1985年、これ、みんなね、この辺ね、バブル期のね、計画ですよ。今そんなことやってる言うんやったらまだわかるよ。しかもね、持ち出すのが、下のほう持ち出すのが府立中央図書館と市立中央図書館、無駄やと。ね、二重やと。そやけどね。同じパンフレットにこない書いてあるんですよ。「図書館や税務署なども、従来通りご利用いただけます。」「大阪市立中央図書館と23ヶ所の地域図書館は区立施設になり、より住民のみなさまに身近な特別区が運営します。」。おい、市立図書館邪魔やったんちゃうん? 府立があんのに大阪市があるもんやから、府立図書館があんのに二重行政で市立図書館作ったって、さっきのこれ言うてたよな。同じパンフレットの11ページ。二重行政、ね。

で、今度同じパンフレットの7ページ。

山本太郎:
これ、全部特徴あるのが、特別区が運営しますとか、もう結局、全部その先は特別区がやるってことでずっと先送りしてません? 

薬師院仁志:
そうそう、あのね、それで残りますよ、と。そのまま残る。そしてこのパンフレットいろいろ書いてある。維新が言ってる。今の小中学校、市立の小中学校、大阪市立の小中学校全部残りますよ、と。今の24区の区役所の窓口全部残りますよ、と。ですね。図書館も残りますよ、と。残るというのはどういうことかと言うと、大阪市を潰して特別区を設置した瞬間は残ってます。だけど、あとは区がやるんです。さっきのあんだけ金のない特別区、単年度計算だけで98億円も収入が不足する特別区。「いや、そんなん図書館なんかやってられへん」「どうぞ潰してください」「いやこんなん小学校中学校全部維持できへん」「あ、ほな、どうぞ自由に統廃合してください」。それでその大阪市潰して特別区になった瞬間は図書館かって小学校かって残ってますやん。そやけど、もうそんなんはあとは特別区でご自由にっていう話なんですよ。金がなかったらどんどん消えていくっていう話なんですよ。いいですね。そのことをちゃんと理解して。

残ります残りますって、ずっと残ると保証されてるわけじゃないですよ。むしろ財源不足でなくなる危険性が非常に高いんですよ。そうですね。で、そういうことでその維新はその図書館にしても二重行政、二重行政って言ってね。一方でこんな二重行政や言うて。一方では残ります言うて。でも残んのんはその瞬間だけです。いいですね、はっきり言ってむちゃくちゃですよ、これ。むちゃくちゃですよ。ほいでね、何を言い出すかって言ったらね、これもね、刷り込まれてるんですよ。

「今まで府知事と市長の意見がバラバラになったため、すでに昔のような二重行政があった」と。そいで「府と市が競い合うように同じような施設やサービスに税金を無駄に投資し、再び二重行政に戻ればすぐに借金が膨らみ、せっかくの大阪全体の成長もストップしてしまいます」と。

これも維新が同じことを繰り返すから刷り込まれてるんですよ。みんな思ってるわけですね。「でもな、やっぱなんやかんや言うてな、維新が大阪、発展させたしな」ね。「維新の前の大阪はな、やっぱり大阪府と大阪市の対立で発展せえへんかったからな、大阪市は苦しかったよな」嘘つけ。大阪市ってね、維新なんかできるずっと前、1989年から一回も赤字決算になったことないわ。いいですか? 30年以上、赤字決算なったことないですよ。維新ができるずっと前から。

ほいで今、維新が言ったね、その経済発展できると維新が何したかっていうのはそりゃ「なにわ筋線」言ってますよ、ぶちまけてますよ。まだ出来てへんがな。「万博」だ、と。いや、まだやってへんがな。経済効果言うたってね、そんなんね、その今の都市計画というのはね、時間かかるもんなんですよ。だから、今の大阪を何が支えてるかったら、維新ができるずっと前のね、都市計画なんです、大阪ビジネスパークとか、USJとか、海遊館とか、グランフロント(大阪)とかね、ああいうのは、ああいうのが今の大阪のメインな柱ですよね。それって維新ができるずっと前の計画なんですよね。

山本太郎:
でもまるで自分たちの手柄のように、何か表現されてますよね。

薬師院仁志:
そう、そう。で、だから、それも刷り込まれてるんですよ。あのね、府知事と市長がね、その意見がバラバラになったらね、発展しないと。これも怪しいもんなんですよ。それも刷り込まれてますよ。大阪府にはね、43の市町村があるんです。いかに大阪市が大きいからと言うたって、43市町村のひとつなんです。しかも人口は大阪府の人口のうちの3割強しかいません、大阪市民は。大阪府の人口の7割近くは大阪市以外の市町村に住んでおられる方です。ね、だから、大阪府と43市町村の1個である大阪市がうまくいったってですね、それで大阪府全体がまとまるわけじゃないんです。

思い出してください。そんなことは維新の人がよく知っているはずです。かつての、ね、大阪府と大阪市の水道統合のとき、大阪市の平松市長と大阪府の橋下知事は合意しました。なぜ水道統合できなかったのかと言うと、それは大阪市以外の市町村の方が反対したからなんですよ。つまりですね、たかが43、43市町村のうちのいくら大きい言ったってひとつですよ。そこのね、府と市だけがね、円滑にいったってね、それで全体がまとまるわけじゃないんですよ。これ大きな問題なんですね。

しかもね、これ府知事と市長の意見がバラバラになるっていうのはね、悪いことじゃないんですよ。なぜかならば、府がね、全体としてはこうしたいって言ってもね、各市町村は、「いや、それはね、他のとこはいいかもしらんけども、うちはちょっとそれ困るんですわ」と「なんとかしてくださいよ」と、地元住民の立場を大阪府に代弁してくれるのが地元の市町村と村長さん、町長さん、市長さんじゃないですか? nそういうことでしょう? ということはこれ、府知事と市長の意見がバラバラやったら困るから大阪市という自治体なくして特別区にしてしまえ、と。ということはね、特別区の区長の権限なんていかに弱いかってことですよ。そうでしょう? つまり揉めないということは喧嘩もできない、対立もできない、なんでも言うこと聞かなしゃあないと、そういうことですよね?

例えば、「ああ」あんたの特別区にね、なんか中国資本のカジノでも呼んで作ろうか」と。ね。そうするとね、「大阪府、もう決めました」と。そしたら今の大阪市やったら反対するかもしれない、大阪市ね、だけど反対できないですよ。それをそんなもん特別区長、権限ない。なんでも大阪府の言うたまんまと。ね。大阪、これ凄いですよ。大阪市の権限と財源をむしり取って、どんどん、どんどんそういうことに金が使えるということなんですよ。だから、大阪府の、ね、財源が増えるということは、大阪府下の他の市町村の人を豊かにすることではないということなんです。わかりますね。

何に、何のために大阪市の権限と財源をむしり取るのか?ということですね。何のために大阪市の権限と財源をむしり取るのか?と言ったら、何でも大阪府の言う通りにこの都市をしてしまうという、そういう恐ろしい話なんですよ。でね、大阪市だけがね、じゃあ、自治体の横綱で、「お前らばっかり大阪市民ばかり権限・財源を持ってたらそれでいいのか」と、そういう話ではないんですよ。この大都会ですね、今聞いていただいている方の中でもね、大阪市外の方はいっぱいいらっしゃると思うんですね。

でね、大阪市というのは、そもそも夜間人口と昼間の人口が全然違う。大阪市外からいっぱいこう働いたりしに来られるわけですよね。そうするとね、その人たちが通る道路も大阪市が作らなきゃいけないんですよ。その人たちが乗る地下鉄も大阪市が整備してきたわけですよ。そしてその人たちが大阪市にいるときに、地震が来た、津波が来たと言ったときに、その人たちの命を守るのも大阪市の仕事なんですよ。それで大きな大都市というのは、それだけの権限と財源を必要としてるんですよ。それをね、権限も財源もないちっちゃなね、特別区に分けてしまってね、それで本当に機能するのかと。なので、大阪市外の方、なんや大阪市の財源と権限取って大阪府に入るんやったら、大阪市、損するかもしらんけど、他の大阪府、得するとちゃうかとか、そういう話ではないんですよ。そういう話ではないんですよね。大都市はそれだけのインフラもいるし、それだけ人の命を守らなあかんのですよ。で、そこを誤解しないで欲しい。そこを誤解しないで欲しい。

そしていくら言ったって、大阪府全体の広い中で、大阪市なんてね、43市町村のひとつであって、大阪市だけを潰したって、大阪府が一本化するわけでもない。しかもね、地元の市町村の権限を弱くするなんてことはね、何でも大阪府の言いなりになるということであって決していいことではない。今回の住民投票で可決されたらね、大阪市の自治は失われ、大阪市の財源と権限は失われるけども、大阪府全体が一本化するわけでもない。何も残らないということなんですよ。何にも残らないということなんですね。

それで前回の、住民投票のときの大阪維新の会が撒いたね、ビラとか、チラシですけどね。

「大阪都構想について、こんなデマが飛び交っています」と。住民サービスは今より向上。なんで向上するねん。 「大阪都構想でなければ二重行政はなくなりません」とかね、「大阪都構想の財政効果はすでに出ています」って。なんの話や。デマだ、デマだと。

今回まだですね。

あのね、人の話をね、我々がこう言っても、デマだ、デマだ、デマだ、デマだ。だけどね、選挙で選ばれた為政者の方、市民とか学者とかが、「これはおかしいんじゃないですか?」と言ったときに、それを「デマだ」と切り捨てるのは最低でしょう? (拍手)おかしいでしょう? (聴衆:「そうだ」)「デマは飛びかってます」って言うんだったらね、さっきの財源不足のあの小ちゃく書いたやつね、デマじゃないですよ、ちゃんと説明してくださいと。なんであれで住民サービス向上するんですか?と。いいですね。特別区に移行した後、図書館が残るか、小中学校が残るか、そんなんは誰も保証できません。これデマですか? 違いますよね。でも、人の言うことを議論を防いで、「都構想を潰すデマが流れています」と。「それ、デマとちゃいますか?」「反対派に騙されたら、あきまへん!」「コロナ禍だからこそ都構想」。

あのね、さっき98億円足らんって言ったのは、以前の計算。以前の税収。だけど、今年コロナで、さらに税収減ってるわけですね。維新が紙の上で書いたやつでも、98億足らん。今はさらに税制、財源減ってるわけですね。

それで何億もかけて住民投票して、元々98億足らん設計図で、さらに財源少ない特別区を作って、これ本当にひどい目に遭いますよ。本当にひどい目に遭いますよ。こんな広告に、こんな広告に踊らされて、迂闊(うかつ)に賛成すると本当にひどい目に遭います。

だから、私はね、大阪市民としてね、自分自身のこととして、これ本気で怖いと思ってます。本気で怖いと思って、えらいことになります。ですから、一番最初の原点に戻ってください。あなたたちが、皆さん、ものすごく重い手術をしなきゃいけない。重い決断しなきゃいけない。で、そんときね、納得ゆくまでサインしないでください。納得ゆくまで承諾しないでください。法律でこれをやるときは、絶対に住民投票せなあかんねんど、と。これをやるときは絶対に住民投票しなあかんよと法律で書いてある。それくらいのことなんです。市町村合併のときは住民投票してもいいけど、必ずしも義務ではない。町に原発を作るときも、別に住民投票、義務ではない。だけどこれは、これは絶対せなあかんと。この、このときは政令指定都市潰して特別区に分けるなんてことをするときは、絶対に住民投票をせなあかんよって、法律で言ってるわけですね。そんなことを納得できずにハイハイとは言わないでいただきたい。これが私からのお願いです。ありがとうございました。(拍手)

山本太郎:
ありがとうございました。薬師神仁志先生、帝塚山学院大学で教授をされています。で、大阪市民で社会学者ですね。本当にありがとうございます。

薬師院仁志:
ありがとうございました。

山本太郎:
もうずいぶん怒りをためられてるというか。

薬師院仁志:
怒りってか、不安と、恐怖。

山本太郎:
恐怖。

薬師院仁志:
本当にこんなことになったら、どうするんだと。本当に不安と恐れですね。

山本太郎:
これ今、結構、コロナの状況で、役所に対してみんな駆け込むっていうことあったじゃないですか? これまでの期間。要は生活が立ち行かないとか、先がちょっと見えないとか、会社倒れそうだとか。結構、役所は混み合ったんですね。皆さんへの10万円の給付、大阪市民への10万円の給付が一番遅れたんですよ。20ある政令指定都市の中で、一番お金配んのが遅かったのが大阪なんですね。

これ、もちろんあの市長がそこに熱心でないってことがひとつと、もうひとつはやっぱりもう役所がいっぱいいっぱいだったってことですね。この冬にパンデミック的なことが起こるんじゃないかっていう中で、こういうことを、ただでさえ、役所はいっぱいいっぱいなのに、廃止するだの、分割するだのって言ったら、どんなことになりますかね? 

薬師院仁志:
これ単純にね、例えば、自分の職場でね、仕事の引き継ぎとかね、あったときね、まぁちょっとしたことでもね、混乱起きたりしますよね? だけどね、大阪市の職員3万何千人がね、ある時から急にバっとね、特別区職員とかね、一部事務職員とかにね、配置転換で引き継ぎせなあかんわけですよね。いいですか? その3万何千人の仕事引き継ぎですよ。そんなんね、もう、市の職員ね、それに手いっぱいですよ。こんだけの大仕事をするわけですからね、こんだけの大仕事するわけですから、それに手いっぱいですよ。それは当然ね、その今の大阪の役所でもね、役所の優秀なスタッフ、何に使ってるかって言ったらね、この住民投票、この大阪市廃止・特別区の制度設計、そんなことにどんどん、どんどん人材を使ってるわけですよ。

それは10万円給付ね、遅れるの当たり前ですよ。それは10万円給付遅れるの当たり前ですよね。だから、正常な感覚があればね、例えば東京オリンピックだって1年伸ばすと。ね。それはね、やっぱりそれは1年延ばすだけでOKだったかどうかわからない。でもあの時点でやっぱり1年延ばすというのは、まあ、そうか妥当かなと思うんですよね。あのまま突っ走るとやっぱりむちゃくちゃですよね。

だけど、大阪でこの住民投票だってね、まあ、言えば同じことなんですよ。で、もっと言ったら、住民を守らなきゃいけない役所のスタッフのエネルギーを何に使わなきゃいけないのか、ということを考えたらね、これもやっぱり正常な判断だったら、これ今はできないと、考えるべきなんですね。しかもですね、こんだけ税収が減ってるときに、こんな金のかかることをすべきじゃないと。既に税収が減ってるって言ったら、それね、松井市長、なんて言ったか、「いやいや国から補填されるから大丈夫」ってね。

彼らはね、何がしたかったのか? と。地域の発展とか、地方分権とかしたかったんじゃないのか?と。国からもらえるから大丈夫っていうことがしたかったんか?と、彼は。だから、どう考えてもね、一貫性も何もないわけですよ。とにかく自分らが旗振りしてたもんだから、何が何でもやると、もう今はそれしか残ってない。それが住民の利益になるのかどうかとかね、そんなこと全く考えてないとしか言えないですね。

山本太郎:
住民の利益と関係なくて自分たちがやるやるって言ってたことやれないっていうのが彼らの存在意義を失うことになるから、このまま突っ走ってやろうということにしか見えないってことですよね。

薬師院仁志:
そうですよ。そうですよ。だいたいね、前回の住民投票の後ね、住民投票の後、橋下さんなんて言ったかっていったらね、「関西維新の会を立ち上げて関西州を目指す」とか言うたわけですね。何でかって言ったらこの大阪市廃止分割、彼が言う都構想が否決されちゃったと。ですね。なので、何か新しいことをぶち上げなあかんって「関西州」とか言い出したわけですね。ところが全然受けへんかったですね。そうしたらもう住民投票から3カ月も経たへんうちに8月に、2015年の5月に住民投票、その8月のはじめに橋下さんが「いや、こんなんは一回の否決で結論づけられるものではない」とか言い出したわけですよね。

山本太郎:
ラストチャンスや言うてたのに。

薬師院仁志:
そう。問題はね、法律に基づいてやった住民投票の結果を3カ月も経たないうちに、反故(ほご)にしようとしたということなんですよ。2015年の8月の上旬の時点で、橋下徹さんはあんなものは一回の否決だけですべてを結論付けるものじゃないと言ったんですよ。3カ月も経ってないんですよ。ね、それはね、そのなんかね、話し合いがうまくいかないからね、そうなったんだから、そうじゃなくて、もうそんな8月にそう言ってるわけですから。結局、最初は「関西州だ」とか言ったけど、全然ポシャっちゃったわけですね。結局、彼らにしては、やっぱりもう一回、大阪都構想って言って都にもならない自称大阪都構想ね、ぶち上げるしかなかったわけですよ。ほいで都にもならないもんだから、今何してるんですか? 維新のパンフレット見たらね、大阪府の中の政令指定都市化、日本の副首都大阪4区かと。副首都とか言うんですね。副首都って「うちの町、副首都です」って言ったらなれるんですか? 

山本太郎:
自称ですね。

薬師院仁志:
自称ですよ。副首都って何なんです? 何があるんですか? 首都には国会議事堂があるけど、副首都で何があるんです? 架空の存在ですよね。架空の存在ですよね。で、だけど、政令指定都市は実在する存在ですよね。だけど副首都になりますって、それ誰が決めんねん、そんなことって話ですよね。それでもっと言うたらね、なんで副首都になんのに大阪市やったらあかんねん。

山本太郎:
副首都大阪市でいいじゃないかと。

薬師院仁志:
ねえ。だから、何の根拠もないんですよね、言うてることがね。そんなにむちゃくちゃなことばっかり言ってると。もうこれ言い出したら、どこがむちゃくちゃ言うと言い出したら、なんかちょっとビールでも買うて一晩喋ろうやとかね、そんなくらいのことになってしまうと。それくらいぐちゃぐちゃな計画だと私は言いたいです。

山本太郎:
すいません。先生、本当にありがとうございました。薬師院仁志先生でした。ありがとうございます。本当にお忙しいところお時間いただきまして、本当にありがとうございます。いや、この都構想とやらに反対をするというだけでもかなり今の大阪では勇気がいると聞いております。先生はですね、もう顔出しで、しかもこういうところにも登場してきてくださるという非常に心ある方です。ありがとうございました。先生、本当にありがとうございます。薬師院仁志先生、帝塚山学院大学の社会学者の先生でございました。


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