「新疆ウイグルにおける深刻な人権状況に対する決議」への反対理由(衆議院・れいわ新選組 2022年1月31日)

衆議院・れいわ新選組は、2月1日の衆議院本会議で行われる予定の上記決議に反対する。

いかなる国でも人権侵害は許されない。
もちろんこの決議で言及された新疆ウイグル、チベット、
香港などで行われている人権侵害を許してはいけないことは言うまでもない。

ウイグル自治区での大量拘束や拷問、大規模監視や宗教と文化の抹殺、強制労働や生殖に関する権利の侵害などを直ちに停止し、拘束された人々を解放することを目指し、国連などの独立した調査官や記者等の自治区への入域を受け入れるよう、中国に対して求めるべきである。

ではなぜ反対するのか。

簡単に言えば、
「腰のひけた決議を、やってる感を出すためだけにやるな」、である。

そうならぬよう内容の修正を求めたが、かなわなかった。

人権侵害を行う国に対しては、
それがどこであれ最も厳しく、はっきりした表現で指摘し、改善を求めなければならない。

明白な人権侵害があるのに、決議文では
それを人権“状況“と言い換え、非難すべき国の名前すら入っていない。
「行間を読め」「空気を読め」と言わんばかりの生ぬるいものだ。

オリンピック前になんとか開催国の顔に泥を塗り、
参議院選挙前に対中強硬派アピールをしたい勢力と、
穏健派との間で拮抗し、角の取れた決議文が生み出されたのだ。

何もやらないより、何かしらの決議があった方が良い、
と言う考えもあるだろう。

では、これまで、そのような考えをもとに、
決議を行ってきただろうか?

本気で「普遍的価値としての人権」を尊重するなら、
相手となる国によって態度を変えてはいけない。
それは同盟国であってもなくてもだ。
「人権侵害は絶対に認めない」という姿勢を貫く必要がある。

これまで米国が行ってきた人権侵害についてはどうだろうか。
アフガニスタン、イエメン、パキスタンなどの国では米軍の無人機が、
子どもを含む多数の民間人を殺戮してきた。

イラクのアブグレイブ刑務所での捕虜虐待や、
グアンタナモ収容所での違法な監禁・尋問は国際社会から非難を受けてきた。

これら米国による人権侵害は、
国際人権団体から「国際法違反の疑いがある」と指摘され、
国際刑事裁判所から「戦争犯罪」の疑いで調査されている。

このような米国による人権侵害に対して、
日本の国会は何かしらの非難決議を出しただろうか。

出していない。
角の取れた決議すら出していない。

ある国に対しては生ぬるい決議を出し、
ほかの国の人権侵害には決議どころか、忖度して目をつぶる。
これが人権を重んずる国の議会がやることだろうか。

当然、人権を重んずるならば、
今足元で続いている日本の人権侵害についても厳しく問わねばならない。
昨今のコロナ感染拡大では、多くの人が本来受けるべき検査や医療を受けられていない。
第5波の後、第6波への備え(PCR検査拡大、保健所・医療供給体制の拡充など)も
本気でやらず、空港など水際での検査も3、4割を取りこぼすと言う抗原検査にこだわり続け国内への感染拡大を許し、感染者や疑いがある者は自宅に放置され、
支援物資も届かず、餓死寸前に追いやられる人達もいる。

コロナは災害であるのに、中途半端な財政出動に終始。
補償が受けられる者、受けられない者を作り出し、分断している。
25年の経済政策の失敗とコロナ災害を自己責任ベースで乗り越えさせようとするその姿こそ、まさに人権侵害そのものではないか。

他にも、技能実習生に対する搾取は、
国際社会から現代の奴隷労働として非難されている。

祖国での人権侵害を恐れ強制送還を拒んだ外国人の方々は、
入管の劣悪な環境で人間ではないかのような扱いを受けている。
収容期間は長期化し、8年半を超える者もいる。

他にも国土面積0.6%の沖縄に、米軍基地および関連施設の7割を押しつけ、
日本国の法令は無視、低空飛行や危険な訓練が横行。
沖縄での感染爆発の主原因と見られる米軍は、
外出制限を1月末にも解除した。
事実上のやりたい放題を許し続けている。

自国内にも存在する数々の人権侵害にも、
他国を批判するのと同じ厳しさで臨まなければならない。
それ無くして行われる形だけの決議など「お前が言うな」で一蹴される代物である。

繰り返すが、新疆ウイグル、チベット、香港などでの人権侵害は断固として許さない。
その考え方については、今回の決議に共鳴する部分はある。

それと同時に、自国や同盟国に対しても人権侵害の是正と、
被害者救済を厳しく求め続ける。

2022年1月31日
れいわ新選組 衆議院
山本太郎
たがや亮
大石あきこ


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