れいわ新選組は、
衆議院本会議(2月8日)及び、
参議院本会議で行われる予定の上記決議に反対する。
今日のウクライナをめぐる緊迫した状況には、
その背後に米国・EU・ロシアなど様々な国々がかかわっている。
米国・バイデン政権は東欧に3千人規模の部隊派遣を実行中。
英国はロシアへの圧力を強めるため、
東欧への派兵倍増を提案するか、
検討中であることを1月29日に明らかにした。
ロシアは10万人以上とも言われる部隊をウクライナ東部国境付近に集結。
北側国境付近ではベラルーシとの共同軍事訓練を開始し、
さらに3万人以上を集結させるとの報道もあり、
今のところ撤退する気配はない。
今、呼びかけるべきは、
とにかく大きな紛争につながらないよう、
どこか特定の国を非難するのではなく、
関係各国に自制を求めることだ。
ではなぜ決議に反対するのか。
簡単にいえば、
決議文をそのまま読めば、
ロシアを直接名指しはしていないが、
明らかにロシア非難決議となっている。
このままでは、
状況の悪化を後押しする決議になりかねないからだ。
この状況で、
なぜ特定の国家を非難する内容と読める決議が好ましくないか。
大きく分けて2つの対立する勢力の、
どちらかに加勢する立場を日本が取れば、
ロシアと対立するもう一つの側とみなされる。
対立する勢力、その双方に中立の立場から
自制を求めたり交渉役を担うことができなくなってしまう。
そうなれば、
世界はロシアと交渉する重要なチャンネル、カードを、一つ失う。
今、重要なことは、
起きている事象に対してジャッジすることではない。
一刻も早く一度、緊張状態を解こう、対話をしていこう、
という外交を後押しする役割を日本が担うことではないだろうか。
当初、そのような考えをもとに、
決議に反対ではなく、決議文の削除、修正を求め提案した。
決議文において、私たちが削除、修正を求めた部分は以下3点である。
①我が国は、ウクライナの主権と領土の一体性を一貫して支持している。そして、同国の民主化・自由化を推進し、地域の平和と安定に寄与するために、G7をはじめとする国際社会と協調しつつ、同国に対する支援を行ってきている。
②(ウクライナ国境付近の情勢は)国外勢力の動向によって(不安定化しており)
③(本院は)こうした状況を深く憂慮し、自国と地域の安定を望むウクライナ国民と常にともにあることを表明する。
①の部分の削除を求めた理由について
この決議文をそのまま読めば、中立な立場を語っているようにも見えるが問題がある。
「G7」の中にはもちろん、ロシアはいない。
ウクライナ危機をきっかけに、
G8からロシアが外れた経緯に思いを至らせなければならない。
「G7とともに」と強調することで、
このウクライナ問題で、ロシアを敵対する勢力に位置付ける意図が透けて見える。
このパートは
日本が欧米と足並みをそろえロシアに対峙する姿勢が色濃く示されている。
そして削除提案②について。
「ウクライナ国境付近の情勢は国外勢力の動向によって不安定化しており」
という文章から「国外勢力の動向によって」という文言の削除を求めた。
今まず必要なのは、どの勢力が悪いか匂わせることでなはない。
この不安定化した状態を、さらに悪化させないよう求める決議が必要だからだ。
削除提案③では
「自国と地域の安定を望むウクライナ国民と常にともにあることを表明する」
という文章も問題だと考え、これも削除を提案した。
または、
「自国と地域の安定を望むすべての人々と常にともにある」と修正する案も用意していた。
しかし、上記①②③について、「一文字の削除も修正もできない」という回答があり、叶わなかった。
NATO軍の派遣を受け入れる東欧諸国の地域住民は本当に今の事態を望んでいるのか。
10万人を超える部隊が結集され世界から注目されるロシア西部地域の住民たちは、
こんな事態を本当に望んでいるのか。
それらすべての人々とともにあろうとするのが、
日本の立ち位置ではないか。
残念ながら私たちの修正案は拒否された。
そうなれば、決議に反対する以外はない。
日本には、どの国にも対等な立場で自制を求められるポジションを獲得し、
それを実行する使命がある。
第一の目的は地域の安定と世界平和であることは言うまでもないが、
エネルギー、食糧、領土など日本と様々な面で密接に絡み合う間柄のロシアの情況は、
遠くで起きている揉め事ではなく、
わたしたちとも直結する問題である。
緊張状態が高まっている現状において、
どの国にもさらに一歩踏み出させないことを念頭に、
そのための日本にしかできない役回りが求められている。
2022年2月7日
れいわ新選組
衆議院
山本太郎
たがや亮
大石あきこ
参議院
舩後靖彦
木村英子