れいわ新選組は、新疆ウイグル自治区ウルムチ市の火災で犠牲になられた方々へ心から追悼の意を表するとともに、「自由」を求める新疆ウイグルはじめ中国全土の人々に連帯する。
この意思のもとで、参議院・れいわ新選組は、12月5日の参議院本会議で行われた「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」に反対した。
理由は「やってる感を出すための決議は、人権問題の政治利用にあたる」からである。
11月24日、新疆ウイグル自治区ウルムチ市の火災で少なくとも10人が犠牲となった。ウルムチはじめ北京や上海など中国各地において、亡くなった犠牲者の方々へ黙祷を捧げ、政府による厳しいコロナ対策を批判して自由を求める大規模な抗議運動が広がっている。
先週30日には東京都内でも、在日中国人はじめ台湾や香港の若者らが犠牲者の方々へ祈りを捧げ、政府批判の意を込めた「白い紙」を掲げて中国の人々の運動を支持し、独裁は許さない、自由が必要だ、と街頭で声を上げている。
れいわ新選組も、この抗議行動に賛同する。
国家監視と言論統制は人権侵害である。新疆ウイグル、チベット、香港などで行われている人権侵害は断固として許さない。
ウイグル自治区では、大量拘束や拷問、大規模監視や宗教と文化の抹殺、生殖に関する権利の侵害や強制労働などの許しがたい人権侵害が国連はじめ国際人権団体から指摘されてから数年が経つ。
独立した調査官や記者等の自治区への入域が、早急に必要な事態が続いている。
日本政府は中国へ、そのような行為を直ちに停止し、抑圧・拘束された人々を解放するよう求めるべきである。
しかし、今回の決議文は、新疆ウイグル等における深刻な人権侵害についての国会決議であるにもかかわらず、つい先日発生した火災による被害状況や異例の抗議行動の記載が一切ない。2月1日に衆議院で決議された文面の焼き直しを、10ヶ月も遅れて自民党が提案しただけだからだ。
2月に、れいわ新選組が反対声明で指摘したように、「北京・冬季オリンピック」前に開催国の顔に泥を塗りたかっただけだったことが証明されたといえる。
人権問題を、国家と国家の取引きや政治利用するな、と言いたい。強く抗議する。
当初、そのような考え方にもとづいて、決議に反対ではなく、修正を求め提案した。
決議文において、私たちが修正を求めた部分は以下3点である。
①「人権状況」の「人権侵害」への修正 6箇所
②「当該国」の「中国政府」への修正
③「救済するための包括的な施策を実施すべきである。」を具体化する修正
修正①について、「人権状況」というのは、単に人権の様子と言っているだけに過ぎない。とくに、決議文のタイトルからして「人権状況」はありえない。
人権侵害を行う国に対しては、それがどこであれ最も厳しく、はっきりした表現で指摘し、改善を求めなければならない。深刻な権利侵害が発生していることを認識している文言へ修正を求めた。
修正②について、「当該国」は明らかに、中国である。ここをごまかせば、何のための決議文なのか、意味がない。
修正③については、「迫害を受けている人々の保護や難民受け入れなど救済するための具体的な施策を実施すべきである」と修正し、日本政府がやるべき施策を具体的に明示した。決議文の「救済するための包括的な施策を実施」、では何も言っていないに等しく、究極のやってる感で終わってしまうからだ。
しかし、上記①②③は、「一文字も修正できない」という回答があり、叶わなかった。
「保護する責任」という考え方が国連にある。非人道的行為に当該国家が対処する意思や能力がない場合、国際社会がその責任を担うというもので、国際社会の保護する責任は、不干渉原則に優先するというものだ。
これは、その基本原則について、2005年9月の国連首脳会合成果文書において認められ、2006年4月の国連安保理決議1674号において再確認されている。
人権侵害を行う国に対しては、それがどこであれ最も厳しく、はっきりした表現で指摘し、改善を求め、日本政府は保護する責任を果たしてこそ、国際社会の一員といえる。
このことは、日本国内で人権侵害を受ける難民や外国人労働者にも通じる責任である。
しかし、残念ながら私たちの修正案は拒否された。この程度の修正すらしないのであれば、人権問題の政治利用と言わざるを得ない。そうであれば、決議に反対する以外はない。
繰り返すが、新疆ウイグル、チベット、香港などでの人権侵害は断固として許さない。その考え方については、今回の決議の内容に共鳴する部分はある。
それ以上に、れいわ新選組は、新疆ウイグルの深刻な人権侵害に対して、ウルムチの火災をきっかけに中国国内外で広がる抗議運動と自由を求める人びとの切実な闘いに連帯し、日本政府に対して、新疆ウイグル等の深刻な人権侵害を直ちに停止させるよう中国へ求めるとともに、迫害を受けた人々を保護し難民を受け入れるよう要請する。
2022年12月5日
れいわ新選組