れいわ新選組は、本日の衆議院本会議で賛成多数で可決された全世代型社会保障法案(正式名称:「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」)に反対した。反対の理由は、全世代に社会保障を充実させるかのような法案の響きをよそに、岸田政権は実際にはまったく逆のことをやろうとしているからだ。
この法案は、国が必要な支出をせず、少子化対策に全くつながらないお粗末なものであるばかりか、お年寄りをやり玉にして、逆に財政支出の削減をおこなおうというものだ。
加えてやり方にも問題がある。いくつもの法律をワンパッケージに束ねてスピード審議していく、いわゆる「束ね法」という手法だ。これでは当事者の声はもとより少数会派の声は反映されない。これまでにも障害者総合支援法、GX推進法案・GX脱炭素電源法案などで、同じ手法が使われ、れいわ新選組は強く反対してきた。
この法案では、健康保険法等の改正部分として、出産・育児支援一時金の増額(42万円→50万円)を盛り込んでいるものの出産・育児支援一時金の財源となる保険料の一部については、後期高齢者からも徴収するとしている。後期高齢者の保険料負担を増額し、国の支出を50億円も削減するという策略は、少子化対策の名での、高齢者いじめである。
そもそも出産・育児支援一時金の拡充の、どこが「異次元の少子化対策」なのか。
今国会でも、2025年までに若い世代が出産育児に安心感をもてる策を講じることが少子化対策のラストチャンスだと有識者から指摘があった。
それによると、10兆円レベルの国費が必要とされている。
(参考:2月22日予算委員会資料)
問題はそれだけではない。必要な財政措置を政府が講じないことに加え、後期高齢者に負担を押し付け、まるでお年寄りが社会をダメにしているかのような印象操作を行い、世代間対立を深めている。
この法案では、出産費用の保険適用はなされない建付けであるが、統一地方選挙が告示されるタイミングで、
3月31日、政府は少子化対策のたたき台である「こども・子育て政策の強化について」を発表。その中で、突如として出産費用の保険適用導入を匂わす発言を繰り返しはじめている。現在審議している法案の不備を政府がたたき台で拡充するというのは前代未聞である。法案には修正すべき問題点が多数含まれていることの証である。束ね法で、不備をごまかすことは許されない。
例えば他にもこのような不備がある。
政府は、この法案の中で、介護従事者の処遇改善策として、国による財政措置の増額ではなく、介護サービス事業者に対し経営効率と「生産性の向上」を求めている。
介護従事者は全産業平均との賃金格差が月給8.5万円もあり、人手不足の解消のために、その是正こそが求められているのに、先細りするような話をいまだに続けている。
その他、この法案では、かかりつけ医機能の強化などがうたわれているが、国による財政出動も実質ゼロの地域医療制度改革は、国民の医療へのアクセスの機会を制限するものでしかない。
また、この法案ではこれまで取り組んできた「医療費適正化」をさらに推し進め、都道府県に対して病床機能の分化・連携を求めたうえで、その「達成目標」を具体的に示すよう義務づけている。さらには「医療費適正化計画」の実績についても自己評価することを求めている。こうした改定は「適正化」という言葉を使ってはいるものの、実際には「医療費縮減」の押し付けそのものであり、医療施策のさらなる後退に他ならない。
自公政権のみならず、維新をはじめとする一部野党による「高齢者が優遇されているせいで若者が貧しくなる」かのような高齢者叩きが盛んだ。
れいわ新選組はそれとは一線を画する。そんなことをしても、若い世代が置かれている問題は解決しない。
むしろ悪化するというものである。
政権のお仲間や、一握りのうまくやっている資本家を除いて、この国では、誰もが生きにくく、終わらない地獄のような競争にすでに巻き込まれている。
それを生み出してきたのは、他でもない歴代自民党政権である。
「官から民へ」「行政の無駄を省く」というスローガンのもと、あらゆる部門への財政支出の削減を続けてきた。その対象を社会保障制度にまで広げてきている。私たちは、お年寄りと国民を苦しめ続ける政治の策略と徹底的に抗い、そんな地獄を変えようと国民のみなさんに呼びかける。あなたの生活を徹底的に守ることが、この国の社会保障であり、この国の安全保障だ。
「お年寄り」とは、敗戦後を生き抜いた人であり、敗戦の間もないころに生まれた人である。
これらの日本の高度経済成長を担った人たちを「生産性のない人」扱いするような国であってはならない。
すでに社会の生産性は十分に満ちている。今必要なのは、あなたの購買力を高めること、
国民に必要なものを国内で生産できることである。
私たちは、今こそ地方からも国を揺らし「誰もが生きていて良かった」と思える社会保障制度の実現と
福祉国家の立国のために全力で闘う。
2023年4月13日
れいわ新選組