【声明】「北朝鮮による衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射に抗議する決議案」採決を受けて(れいわ新選組 2023年11月24日)

れいわ新選組は、衆議院での「北朝鮮による衛星打ち上げを目的とする
弾道ミサイル技術を使用した発射に抗議する決議案(決議文の全文を文末に転載)」
の採決を棄権した。以下、理由を述べる。

この決議文が対象としているのは、
11月21日夜の北朝鮮による人工衛星の打ち上げである。
国連安保理は、ミサイル技術実験の口実とみなして
北朝鮮の人工衛星の打ち上げそのものを禁止し、
国連安保理決議違反としている。
この点に関し、私たちは、北朝鮮に対しては順守を求める。

いっぽう、政府とマスコミは、本件、「発射」が何に違反していて、
どの程度危険であるのかを国民に正しく情報提供するという点において、
重大な間違いを犯している。
今回の政府発表、Jアラート(全国瞬時警報システム)、マスコミ報道、
いずれにおいても、あたかも沖縄県のすぐ上をかすめて
ミサイル発射が行われたように情報発信された。
実際には、人工衛星の打ち上げであり、その高度は450km。
領空の定義について、かつて政府は
「大体上空九十キロとかあるいは百十キロ、が討議の中心」と答えている
(第107回国会 参議院 内閣委員会 第3号)。
「我が国上空をミサイル通過」と表現が一人歩きすることで、緊張感が作り出され、
「反撃能力」を含む軍備増強の口実とされることを懸念する。
防衛省・自衛隊は、北朝鮮が発射を継続するとみて、
先島諸島や那覇市への地対空誘導弾パトリオット(PAC3)展開を
継続する方針であり、すでに展開開始から半年を超えて、常態化している。

琉球新報の記事(11月23日)において、
ジャーナリストの布施祐仁(ふせゆうじん)氏は、
北朝鮮が人工衛星を発射するときと
本当のミサイルの発射時とは明確な違いがあること、
Jアラート発令に政治的判断が加わっていることを指摘している。
また、同氏は、米朝首脳会談の実施など
外交的取り組みが進んだ2018年には発射が一度もなかったとし、
「今やるべきは、米朝首脳会談の合意事項実現に向けた
外交交渉を再起動させ、緊張緩和を図ることだ」としている。
国民保護のためには、それらの政府対応の改善を求めていくことが必要ではないか。

今回の決議文のなかには、国際的な緊張をあおる表現、
外交的な問題解決に逆行する表現がある。
国際社会が「結束した外交努力を展開し、平和的な解決を模索すべきである」と
述べられているが、
一方で、「米国、韓国等関係各国と緊密に連携し」として、
平和を模索するために、協調すべき国として中国やロシアが含まれていない。
過去の対北朝鮮の国会決議文では
「米韓中ロと連携して国連安保理における議論を
主導する外交努力を展開すべきである」としていた。
これは北東アジアにおける非核化にむけて、
日本、米国、中国、ロシア、韓国、北朝鮮による
「六か国協議」を重んじる立場を反映していた。
昨年のロシアによるウクライナ侵攻や昨今の米中対立の大きな動きの中で、
北東アジアに「新しい冷戦構造」が生まれつつある。
昨年に閣議決定され、関連法案が今国会で可決された
安保三文書を巡る動きもそれを加速する一つの動きである。
その状況下で、今「六か国」の枠組みを再生させることこそ必要だ。

国会決議の年中行事化や、自民党政権の無策を正当化する決議に与せず、
徹底した平和外交に向けた取組を推進していく。

2023年11月24日
れいわ新選組


(本日、衆議院本会議で決議された案文の全文は以下の通り)

北朝鮮による衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射に抗議する決議案

十一月二十一日、北朝鮮は、衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行し、沖縄本島と宮古島との間の上空を通過し、太平洋上に落下したとみられる。
北朝鮮は、昨年以来弾道ミサイルを八十発以上も発射しており、かつてない高い頻度で続く一連の挑発行動は、国際社会に対する深刻な挑戦である。このような中で、昨年十月及び本年八月に引き続き、我が国の上空を通過する形で発射を強行したことは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものである。このような北朝鮮の行為は、関連国連安保理決議及び日朝平壌宣言への違反であり、断じて容認できない。
本院は北朝鮮に対し重ねて厳重に抗議し、最も強い表現で非難する。さらに、挑発行動を中止し、核・弾道ミサイル開発計画を直ちに放棄するよう強く求める。
国際社会は、国連安保理決議等を踏まえ、結束した外交努力を展開し、平和的な解決を模索すべきである。政府においては、国連加盟国に対し、これまでの国連安保理決議に基づく制裁措置の完全な履行を実現するよう働きかけを一層強化しつつ、米国、韓国等関係各国と緊密に連携し、北朝鮮に対する一層厳格で実効的な措置を取るよう求めるべきである。
北朝鮮の核・ミサイル問題のみならず、時間的制約のある人道問題である拉致問題も我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる最も重大な問題であり、国際社会が結束して北朝鮮による核、ミサイル、そして、最重要課題である拉致問題の包括的かつ早急な解決を図るべく、政府の総力を挙げた努力を傾注し、もって国民の負託に応えるべきである。
右決議する。


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