【声明】能動的サイバー防御法案に反対(れいわ新選組2025年4月8日)

本日4月8日、衆議院本会議において、
与党と野党4会派が修正合意した
「能動的サイバー防御法案」(新法と整備法の2法案)が、
上記6会派の賛成によって可決した。
れいわ新選組はこれに反対した。

この法案は、本来必要な事業者の情報セキュリティ強化支援は
おこなわず、アメリカなどの「同志国」との軍事同盟強化を志向し、
この国に生きる全ての人々に対しては
「通信の秘密」を侵害する危険性を持っているものである。

この国では、2022年安保三文書の閣議決定以降、
あるいはそれ以前から、実質的な内閣の独裁、
アメリカの戦争に加勢できる法整備、
国民監視のための法整備が一つひとつ重ねられている。
このプログラムには、リベラル政党の転向の積み重ねも含まれている。
本法案もまた、そのパズルの1ピースであった。
この危機的現状を一人でも多くの人に知らせ、
方向転換させる政治的力が求められている。

れいわ新選組(上村英明)は、衆議院本会議において、
「能動的サイバー防御法案」に対する以下の趣旨の反対討論を行った。


れいわ新選組の上村英明です。私はいわゆる「能動的サイバー防御」2法案について、れいわ新選組を代表し、反対の立場から討論致します。

現在、とくに海外からのサイバー攻撃に日本が晒されており、重要な社会インフラを守る必要があることは一定理解します。しかし、それが現在の「受動的サイバー防御」やその強化という枠組みを超え、サイバー版敵基地攻撃能力とも揶揄される「アクセス・無害化」また人権の侵害や治安管理・監視社会化につながりかねない、令状なしに通信情報を政府が収集・分析する活動を含む、「能動的サイバー防御」になぜ飛躍するかが、今回の質疑の本質です。

両案が国会審議入りした3月18日の本会議で、両案の問題点について、大きく4点指摘致しました。第一に、「アクセス・無害化」が他国の主権侵害と見なされる危険性が極めて高いこと、第二に、憲法第21条第2項後段が保障する通信の秘密を守るための規定が全く不十分であること、第三に、この活動を公正・中立また効果的に監視しなければならない「サイバー通信情報監理委員会」の実効性・独立性が担保されていないこと、そして第四に、能動的サイバー防御の前に、現在の中小規模組織の情報セキュリティ対策の抜本的底上げ等、最優先課題が山積みであることです。

しかし、これまでの審議を経ても、一定の前進があったとは言え、上記の問題点を払拭できる法案にはなっていません。例えば、「アクセス・無害化」が戦争や紛争に拡大しないためには、問題のあると言われる政府を含めた信頼醸成措置の構築や国際法の共有化が不可欠です。しかし、現在最大の同盟国との信頼も揺らぐ中、法案では同盟国・同志国との国際協力ばかりが強調され、現実には軍事部門のサイバー攻撃共同演習も行われています。軍事同盟の強化と言われても仕方がありません。また、法律が施行されれば、これらの活動は市民の監視から遮蔽されます。その点、人権や国際法を遵守する目的で、「サイバー通信情報監理委員会」の独立性や国会への義務が十分に担保される仕組みも不可欠です。しかし、日本学術会議問題が示すように、そもそも日本では政府の下にありながら、政府から独立した第3者機関が設置された例はまれです。現在想定されている組織で、これが担保されるか甚だ疑問です。さらに、330万を超える、中小規模の民間企業や病院等のサイバーセキュリティ対策が貧弱であることが明らかで、そのサプライチェーンが脆弱性の要因であるにもかかわらず、積極的な財政支援など新たな施策の表明はありませんでした。

進めるべきは、米英等の所謂「ファイブ・アイズ」を目標に、政府自らが「ハッカー」になってサイバー攻撃を行う「能動的サイバー防御」ではありません。回復力・レジリエンスの強化も含めた受動的サイバー防御力の向上に重点を置き、社会基盤組織の情報セキュリティ対策を抜本的に底上げすると共に、問題があるとする政府との関係を含む、国際的な信頼醸成措置の構築こそが、平和国家日本が取るべき政策であることを改めて強調し、れいわ新選組を代表しての反対討論を終わります。



2025年4月8日
れいわ新選組


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