2021年6月11日 れいわ新選組 党声明「北朝鮮制裁案件「棄権」の理由」について

参議院本会議において、6月11日、2つの承認案件(※)が採決された。

※ (閣承・2号) 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件 (国土交通委員会)
(閣承・3号)外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことにいて承認を求めるの件 (経済産業委員会)

この2つの案件は、いわゆる「北朝鮮に対する日本独自制裁」について、国会での「事後承認」を行うものである。閣議決定自体は既に4月6日に行われている。

具体的には、特定船舶入港禁止法に基づく、北朝鮮の船舶の日本の港湾への入港禁止と、外為法に基づく北朝鮮からの輸出入の全面禁止のそれぞれ「2年延長」である。

報道によれば今回の延長は「北朝鮮の非核化や弾道ミサイル廃棄が見通せず、日本人拉致も解決していない現状を踏まえて外交上の圧力を維持する」(日経新聞、2021年4月6日)とのこと。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE061KP0W1A400C2000000/

しかし、この制裁は、2006年に発動し、対象を広げながら延長を漫然と繰り返されてきた。既に15年目である。この間、北朝鮮による日本人拉致事件はほとんど前進していない。

2021年1月の記者会見で菅義偉総理は、「北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党総書記とは条件を付けずに直接、向き合う決意だ」と述べ、安倍前政権と同様、「北朝鮮との国交正常化を目指す考えに変わりはない。あらゆるチャンスを逃すことがないようにしたい」と前政権と同様の認識を述べた。(産経新聞、2021年1月13日)
https://www.sankei.com/article/20210113-FLYIAXBE55O7RNMHJJ3WQ5FBDQ/

今回、漫然と制裁を延長するのではなく、この延長判断にあたって、菅政権は、北朝鮮との交渉の再開に向けた「チャンス」と捉える考え方もあったはずである。このまま2年間、そのままの形で制裁を延長することは、「このまま2年間、北朝鮮との関係が何も前進しない」ということを意味する恐れはないだろうか。制裁を継続しても状況は全く改善していない。これでは将来に向けたビジョンが全く見えない。

高齢化が進んでいる拉致被害者のご家族のことを思うと、本当にそれでいいのか、と思わざるを得ない。

北朝鮮に対して、制裁を行ってきたことは一定の合理性があることは認める。しかしながら、延長にあたっては、例えば2年延長を、半分の1年延長とすることや、更に半分の半年延長に留めるなどの日本側が「変化」を見せることを通じて、北朝鮮の金正恩総書記に対してシグナルを発し、膠着している交渉再開につなげるなどの外交的手段があってもよいのではないか。

いずれにしても、制裁をそのまま何度も延長し続けるだけでは、拉致問題の解決は望めない。私達としては政府に対し、自らが主張するように、「北朝鮮との関係を築く場面において、あらゆるチャンスを逃すことがないようにしてほしい」と強く求めるものである。


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