優生保護法に基づく強制不妊手術(優生手術)を巡る国家賠償請求訴訟に対して、2022年2月22日の大阪高裁判決に引き続き、3月11日の東京高裁でも、優生手術が人権侵害であることを認め、国に損害賠償を命じる判決が言い渡された。
優生思想がはびこる社会において、きびしい差別のなか勇気をもって訴えられた原告の皆さま、弁護団の皆さま、そして支援者の皆さまの努力に心より敬意を表するものである。
大阪高裁判決においては、同法の優生手術を定めた条項が憲法13条及び14条1項に反して違憲であるとして国会議員の立法行為の責任を認め、さらに東京高裁判決においては、優生手術を積極的に実施させてきた厚生大臣の責任が断じられている。
さらに、東京高裁判決では、「国は平成8年の法改正後も被害の情報を入手できる制度の整備を怠り、除斥期間の経過だけで賠償責任を逃れるのはいちじるしく正義・公平の理念に反する」と、今までの除斥期間20年で訴えを排除してきた地裁判決を一蹴した。
れいわ新選組はこの問題に関して、1996年に優生保護法を廃止し、母体保護法に改正する際、なぜ優生条項を廃止する必要があるのか過去の優生政策への検証がなかったことを指摘し、本来この時点で、国は過去の優生施策を反省し、被害者への謝罪と補償の措置をとるべきであった、という見解を表明している。
優生保護法が議員立法でつくられたこと、改正時にも国がとってきた優生政策への明確な反省や補償に結びつく審議がなかったことを考えると、立法府の責任ははなはだ重要と言わざるを得ない。
2019年、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」が制定され、施行されているが、国の責任が明確にされておらず、被害の救済には不十分である。両判決は、政府および国会に対し、同法のみでは責任を果たしていないことを鋭く指摘するものである。
被害者の方々が高齢化し、次々とお亡くなりになるなか、また、被害を訴えることのできない、水面下に埋もれた多くの被害者の方々の現状を鑑み、政府及び国会は、被害当事者等からの「全面解決要求書」の内容をふまえた、優生保護法問題の全面解決に向け、その役割と責任を果たすべきである。
重度障害の当事者議員2名を擁するれいわ新選組は、政府に対し
・令和4年3月11日の東京高裁判決に上告せず、同判決を確定させること
・優生保護法問題の全面解決にむけ、責任をもって誠実に取り組んでいくこと
を強く求めるとともに、国会において、
・両高裁判決の指摘を真摯に受け止め、優生保護法問題の全面解決に向けて全力で取り組む決意であること
を表明する。