れいわ新選組は、民法等の一部を改正する法律案に反対しました。
今回の改正案では、
・ 親の子どもに対する「懲戒権」を民法の規定から削除したうえで、「子の人格の尊重」や「体罰等の禁止」を民法に明記すること
・ 国連女性差別撤廃委員会から長年廃止勧告を受けている、女性の「再婚禁止期間」という差別的な規定がなくなること
が盛り込まれており、その点では大きな前進といえます。
しかしながら、この法案は「罪なき子ども」が無戸籍や無国籍となり得る法案であるため、問題提起も含めて反対をしました。
まず、第一に、嫡出(ちゃくしゅつ)推定の見直しについて。
民法では、婚姻関係にある夫婦間に生まれた子の親子関係を決定するルールの一つとして嫡出推定を用いています。今回の改正案は、離婚後300日以内に生まれた子を元夫の子とする規定は維持した上で、母親が出産時に再婚していればその夫の子とする例外を設けるものです。
これは、夫のドメスティックバイオレンス(DV)から逃れるなどした母親が子どもの届出をせずに「無戸籍者」が生まれている問題に対する見直しですが、「再婚後に出産した場合」のみが救済されます。
そのため、様々な事情で再婚しない又はできない人や、DV加害者である夫との離婚手続きの間に新しいパートナーとの間に子どもができた人は救済されず、無戸籍者が生まれる問題の抜本的な解決になっていません。
この点は再婚後だけでも改善されたことを評価すべきという意見もあるかと思いますが、この嫡出推定の見直しは民法施行以来初めての見直しであり、救済されない人の存在がまた何十年も放置されてしまうことを危惧しています。
第二の反対理由は、外国籍の女性が婚姻せずに子どもを産み、その子を日本人の男性が認知した事例において、後日その認知が事実に反する(血縁がない)とわかった場合、その認知された子どもから有無を言わさず日本国籍を喪失させる規定(国籍法3条3項)が新設されることです。
この規定は、虚偽認知による国籍取得を防ぐものですが、虚偽認知に関わっていない「罪なき子ども」から日本国籍を奪ってしまうことで、適切な医療や教育が受けられなくなり、長年日本で築いてきた社会生活の基盤を急に奪われ、場合によっては不法滞在ということで強制送還に至る可能性もあります。
この点については、試案段階のパブリックコメントでも指摘がされていたところですが、国籍喪失に関する不利益の救済について部会などで十分に議論した形跡はなく、実際に何らの手当もない条文となっています。
以上のことから、今回の民法等の改正について賛同できる部分はあると考えておりますが、
「罪なき子ども」が無戸籍や無国籍となり得る法案であることを重く見て、法案に反対しました。
れいわ新選組としては、保護を必要とする無戸籍や無国籍の人の救済をすすめ、「誰一人取り残されない社会」に向けて、引き続き取り組んでまいります。