東日本大震災から12年が経ちました。
最愛のご家族やご友人、恋人、かけがえのない命を失ったご遺族の皆様に改めて哀悼の意を表します。
それぞれの場所で復興、生活再建に尽力されている皆様には深い敬意をお伝えしたく存じます。
東電原発事故からも12年。
発災の日に出された、「原子力緊急事態宣言」は現在も発令されたまま。
事故は終わっていません。終わらせ方がわからないのです。
百年単位の時間と世界の叡智を結集、何としても事故原発を収束させることは、日本国としての責任です。
そのような状況にもかかわらず、もう終わったことのように政府や自治体、東電は
様々な支援を容赦なく打ち切る、または不誠実な態度で賠償を渋る有様です。
これは、原子力は安全であると強力に推進してきた加害者側が被害者を切り捨てる行為に他なりません。
原子力災害により被害を受けた幅広い生活者、生産者、事業者に対して、
未来永劫、誠意ある賠償を続けることを求めて参ります。
〇原発推進の「束ね法案」と「GX推進法案」について昨年、岸田政権は原子力政策を大きく転換。
東電原発事故後の「原発依存度をできる限り低減する」から、
「必要な規模を持続的に活用していく」へと180度の急旋回。
原発再稼働の加速、運転期間の延長、新規原発の新・増設の促進を掲げる国の新方針は、
原発事故の教訓も反省もかなぐり捨てる暴挙であり、
被災者はもちろん、この国に暮らす人たちを蔑(ないがし)ろにする
常軌を逸した転換と言わざるを得ません。
岸田政権はこの大転換について、国民に対して十分な説明もなしに閣議決定し、
一つの法案として国会提出しています。
原子力基本法をはじめ、性格や目的の異なる五つの法案が束ねられました。
いわゆる「GX脱炭素電源法(束ね法案)」です。
加えて、今国会では、財源調達のための法案である「GX推進法案」も提出されています。
特に看過できないのが、束ね法案の中の「原子力基本法改正案」。
これは、「原子力の平和利用」「民主的な運営」「自主的な開発」の
3点を謳(うた)った「原子力の憲法」とも呼ばれる法律です。
したがって、基本法を変えるのは憲法改正と同じくらいのインパクトがあります。
決して、束ねるような法律ではないのです。
さらに、今回の改正の核心部分では、現行の原発の運転期間の規定を、
原子力を監視する目的の「束ね法案」の一つである「原子炉等規制法」からは全削除し、
原発を推進する「電気事業法」で改めて規定することです。
改正後は60年を超える運転ができるようにされてしまいます。
私たちは、3.11東電原発事故の反省として推進と規制を分離させた安全基準を、
原発推進側に再び権限を一体化させる内容の、悪質な「束ね法案」には強く抗議します。
また、「GX推進法案」に規定される移行債によって調達された財源をもとに、
原子力が推進される恐れもあります。
政府が現在推奨する次世代原子炉はどれも、従来型より放射性廃棄物を多く出し、
技術的にも実現の見通しがないと海外で批判されているものであり断固反対です。
〇再稼働について
柏崎刈羽原発についても、政府は今夏以降の再稼働を目指すとしました。
しかし、同原発はテロ対策の相次ぐ不備で事実上の運転禁止命令を原子力規制委員会から受けています。
これは地域住民の意向のみならず規制委の独立性も無視する独断的な行為であり許されません。
ウクライナ危機という「ショック」を背景に、電力の逼迫、電力料金の高騰が殊更に強調され、
政府は原発再稼働賛成へと世論の誘導を行っています。
しかし、この戦争が明らかにしたように、一度国土が戦場になれば、
偶発的であっても稼働中の原発が攻撃の対象となるリスクが格段に高まります。
それに加え、日本は地震大国です。
首都圏直下型地震、南海トラフ地震による被害想定では、
東日本大震災や阪神大震災での被害を遥かに超えるとされています。
これだけの地震に耐えられる原発は存在せず、原発再稼働や新設の選択肢はあり得ません。
〇原発事故処理について
メルトダウンした3基の廃炉は全くメドが立っていません。
汚染水の海洋放出を地元漁協等の容認もないまま、政府や東京電力は強行しようとしています。
汚染水を「長期保管」するという選択肢は最初から政府にはありませんでした。
石油備蓄基地級の大型タンクを設置して長期保管すれば、放射能は確実に低減されます。
なぜ、その方策を取らないのでしょうか?
トリチウム除去技術の開発に政府はどのくらい本気になって取り組んだのでしょうか?
また、放射性汚染土も福島県に中間貯蔵し、最終処分場に移送が前提だったはずです。
それが、いつの間にか、県内外の公共事業や農地造成への再利用に変わってしまいました。
これは許容してはならないことです。原発事故被災者に対する長期の医療保証や賠償、
および区域外避難者への財政支援の確立を引き続き訴えます。
〇再エネ転換と新産業創出こそエネルギー安全保障
この12年でやっておくべきだったこと。それは、速やかな自然エネルギーへの転換と送電網の強化、
原子炉の廃炉と立地地域の産業転換を支援する原発ゼロ法の策定、
そして地域に根差した分散型の再エネ普及施策でした。
再エネ転換が十分に進んでいないのは国と財界が
いまだに原子力や火力などの大規模電源に固執しているからにほかなりません。
国の積極財政主導で、再エネ普及を軸にした新産業創出により、地域に新しい雇用を生み出し、
立地地域の原発ゼロを支援していくべきです。
私たちはこう考えます。多様な再エネの普及こそエネルギーの安全保障の確立です。
そのためには、国が積極財政で主導し、必要な施策(グリーン・ニューディール)を行う必要があります。
エネルギー構造の移行期間には化石燃料である天然ガスを活用していきます。
脱原発を柱に、再エネ普及と新しい産業創出によるエネルギーの安全保障。
そして、震災と原発事故被災者の徹底的な救済と生活再建への支援。
3月11日、この日に改めてお誓いいたします。
2023年3月11日
れいわ新選組