【声明】大麻取締法等改正案に反対する理由(れいわ新選組2023年11月14日)

れいわ新選組は、本日の衆議院本会議において賛成多数で可決された
大麻取締法等改正案(正式名称:大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案)に反対した。

我々は、この法改正による医療目的での大麻の解禁は支持する。
医療上の有用性が認められ、難治性てんかん等への効果が期待されているためだ。

一方、この法案では「使用罪」の創設がなされ、
これまで罰則のなかったものが、最長懲役7年と厳罰化される。
ここに重大な問題があるため、法案に反対した。

まず、国家が国民に対し、
ある行為を犯罪行為とするとき、
特に厳罰化する場合には慎重でなければならない。

賛成、反対双方の意見を踏まえ、丁寧に議論することが重要である。
しかし残念ながら、そのような真摯な取り組みは行われず、
厳罰化を推し進めたようだ。

厚労省は、十数名の有識者から構成される会議体を
2021年と2022年、2年連続で名前を変えて設置、
大麻使用罪の創設について検討をおこなった。
2021年の報告書では、使用罪創設に強く反対の意見を表明した委員は3名。

2022年には同趣旨の新たな会議体が設けられたが、
前年に反対を表明した委員はそこに1人も選ばれなかった。

2022年の報告書では大麻使用罪について委員全員が賛成。
その議論の中身をみても、政府は委員となる有識者を恣意的に選び、
大麻使用罪創設ありきで議論を誘導した疑いが持たれる。

日本では「ダメ。ゼッタイ。」の標語とともに
大麻の有害性が強く印象づけられている。

実際はどうであろうか。
世界的医学雑誌『ランセット』(2010年11月)に掲載された論文によると、
薬物等の有害性の最大値を100とした場合、
有害性が最も高かったのがアルコールの72。
次いで、ヘロイン55、クラック・コカイン(主に結晶体)54、覚せい剤33、
コカイン(主に粉末体)27、タバコ26と続く。
そして、大麻の有害性はさらに低く、20である。
この論文における有害性トップのハードドラッグ、
アルコールに関して、日本では取り締まりどころか、
24時間どこでも手に入れられる状態であり、
多くの問題行動は、
無礼講、酒の席でのこと、と免責される扱いである。
業界団体の政治的影響力の大きさから規制することも難しいのであろう。

事実上、大麻使用罪創設目的の有識者の会議では、
さまざま恣意的な発言や資料が提供されていた様子が伺える。

例えば、2022年の大麻規制検討委員会報告書では
「大麻がゲートウェイドラッグとなる」可能性に言及されている。
そうであるなら、
大麻による検挙者数の伸びに対して、他の薬物事犯の増加も見られるはずである。
しかし、データの推移を見てみると現実には逆であり、
覚せい剤の検挙人員は2012年11,842人から2022年6,289人と
10年間で約半分に減少している。
結果、薬物事犯全体の検挙人員も減少している。
(参照:2022年9月29日「厚生科学審議会 医薬品医療機器制度部会 第4回大麻規制検討小委員会資料」及び2023年5年8月8日「薬物乱用対策推進会議資料」)

ちなみに、米国国立薬物乱用研究所は、
「大麻はゲートウェイドラッグ」のような説を否定したうえで
「むしろアルコールやニコチンなどがゲートウェイドラッグとなっている可能性が高い」と指摘している。

2021年の検討会でも恣意的な資料提供がなされていた。
同検討会では大麻合法化後における米国コロラド州の交通事故が
増加したことをくりかえし言及された。
しかし、米国の合法化州全体を対象としたデータでは
交通事故の増加は確認されないという重要な事実には、一切言及されなかった。
これらの点を、この検討会で「使用罪創設」に反対した委員は後日、指摘している。
このような、使用罪創設先にありきでなりふり構わない議論の進め方の裏には、
省内における部局の権限拡大や、予算獲得、
使用罪創設による大幅な検挙実績の上積みなどの思惑が
背後にあるのではないかと疑わざるを得ない。
国民にとって有害な「ダメ。ゼッタイ。」なものは、もっと他にあるのではないのか。

厳罰化を推進するならば、それに足る立法事実が必要である。
しかし、それを満たさぬまま、恣意的な進め方で厳罰化を邁進することは認められない。

れいわ新選組は参議院の審議において修正案を提出し、
新設の使用罪を削除する修正案を提案する。

2023年11月14日
れいわ新選組


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