【声明】旧優生保護法被害者補償法の成立を受けての決意(れいわ新選組 2024年10月8日)

本日、戦後最悪の人権侵害である旧優生保護法によって、
障害や遺伝性疾患、ハンセン病を理由に子どもを産み育てる権利や
人としての尊厳を奪われてきた被害者の方々の長年にわたる苦難の闘いに対し、
その尊厳の回復のための
「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する
補償金等の支給等に関する法律(以下、「補償法」という。)」がやっと成立した。

旧優生保護法は日本初の議員立法として1948年衆参両院の全会一致で成立し、
「不良な遺伝子を持つ人間の出生を根絶する」という優生思想の下、
これまでに多くの障害や遺伝性疾患のある方々、ハンセン病の方々に対して、
子どもをつくり産めないようにする「不妊手術」や「人工妊娠中絶」を受けることを強制され、
強制不妊手術では2万5,000人以上、人工妊娠中絶は5万9,000人以上の方々が被害を受けた。

さらに国は、通知等によって「身体の拘束、麻酔薬の施用、欺罔等の手段を用いる」ことも
「公共の福祉」の名の下に憲法の保障には反しないとして、
非人道的施策を国策として推進し、不良な子孫の根絶をはかってきた。

このように優生保護法によって、
「障害や遺伝性疾患のある人は劣ったいのち」
「障害や病気のあることは不幸」という優生思想が社会に蔓延し、
介護の必要な女性障害者は生理の処理などを
他人にしてもらうことは迷惑をかけることと思わされ、
障害や遺伝性疾患のある人からは障害者が生まれてしまう、
子どもは育てられないといった偏見や差別にさらされ、耐え難い苦しみを負わされ続けてきた。
国が被害者の方々から奪ってしまった未来は、もう取り戻すことはできない。
そのような悲惨な状況を作り出した国の責任は極めて重い。

1970年代から、障害者団体や女性団体など様々なひとたちが
この旧優生保護法に対する反対運動を行ってきた結果、
1996年に優生条項が削除され母体保護法に改正されたが、
被害者に対して国会・政府からの謝罪・補償の動きはなかった。

さらに1998年には国連の規約人権委員会から日本に対して
強制不妊手術の被害者に補償等必要な措置を行うよう勧告を受け、
その後も被害を訴えた方がいたにもかかわらず、
「当時は合法だった」としてこの問題の重大性が認識されず、
その事実の解明も責任追及もされてこなかった。

ようやく法改正後20年以上が経過した2019年に、議員立法によって
「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給に関する法律」が
作られたものの、「慰め」に過ぎない一時金であり、国の損害賠償責任は認めていなかった。
そのうえ、人工妊娠中絶を強いられた方々への謝罪や補償は全く考えられておらず、
被害者の人権回復には程遠い法律だった。

さらに、2022年に障害者権利委員会から出された総括所見においても、
「旧優生保護法下での優生手術の被害者のための補償制度を見直すこと」が
勧告されたにもかかわらず、その勧告にすら耳を傾けず、
最高裁判決が出されるまで国は見直しを行ってこなかった。
このような状況の中、今年の7月3日に、
強制不妊手術を強いられた被害当事者が声を上げた裁判の最高裁判決が出され、
旧優生保護法は、個人の尊厳と人格の尊重に著しく反する差別的なものであり、
憲法13条や14条1項に違反するとして、国の損害賠償責任が認められた。

この最高裁判決を受け、超党派の
「優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟」の中に
被害者の方々への謝罪や補償を行うためのプロジェクトチームが作られ、
被害当事者や弁護団などのヒアリングを行い、議論を重ねてきた。

その結果、当事者の要望も踏まえ、前文に国の責任を明記し謝罪を行うとともに、
強制不妊手術を強いられた被害者やその配偶者に補償金を支払うものとし、
最高裁判決では対象とされなかった「人工妊娠中絶を強制された者」への
一時金の給付も行う内容とするなど、被害者の尊厳や被害の回復に向けた補償法が作られた。

しかし、補償法が作られても障害や遺伝性疾患のある方々への
差別と偏見はなくなったわけではない。
障害者と健常者が分けられ、障害者が社会から取り残されている現状において
生命に優劣をつける優生思想との闘いは続いていく。

補償法は被害者らの尊厳の回復の第一歩にすぎず、我々が真に行わなければならないのは、
このような障害者の尊厳を踏みにじり人権を侵害している、
優生思想やそれに基づく差別や偏見の根絶である。

そのためには、旧優生保護法下で何が行われてきたのか、
なぜここまで被害の救済と尊厳回復のための立法が遅れたのか、
徹底的な調査・検証をするとともに、
「旧優生保護法問題解決のための基本法」を作ることを検討するなど、
この旧優生保護法の問題を過去のものとせず、
国会と全省庁あげて障害者に対する差別・偏見をなくす取り組みに
向き合い続けなければならない。

長年、国策により国民に植え付けられた「優生思想」はそう簡単にはなくならない。
しかし優劣を競わされ、生きる価値を値踏みされる社会は誰にとっても生きづらい社会である。
こうした社会に根付いた意識を変えていくために、
れいわ新選組は、障害当事者議員が先頭に立って、
優生思想の根絶に向けて闘い続けることを誓う。

2024年10月8日
れいわ新選組


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